【家庭用ロボット LOVOT】サブスクリプションが未来の「ものづくり」を変える!進化し続ける愛玩ロボットが示す新時代のビジネスモデル

近年、動画や音楽などのデジタルコンテンツから始まり、飲食店などのサービス分野にも拡大しているビジネスモデルが「サブスクリプション(サブスク)」です。これは、一定期間にわたり定額料金を支払うことで、商品やサービスを利用できる継続課金方式を指します。この波は、私たちの経済や「ものづくり」のあり方に、どのような変革をもたらすのでしょうか。本記事では、この秋にも発売が予定されている家庭用ロボット「LOVOT(ラボット)」をサブスクリプション形式で提供する、GROOVE X(グルーブ・エックス)の林要代表へのインタビューを基に、サブスク時代における新たなものづくりの哲学を探ります。

LOVOTの開発経緯について林代表は、人の仕事の代わりをするのではなく、犬やネコのような存在として、家庭内で気兼ねなく接することができる愛玩ロボットを目指したと述べています。ペットが長い時間をかけて人の都合に合わせて進化してきたように、LOVOTもまた、使われる中で「進化」し続ける存在となることを意図して開発されたものです。この「進化し続ける」という発想こそが、これまでの売り切り型ロボットにはなかった、大きなイノベーション(技術革新)と言えるでしょう。

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サブスクリプションが「製品寿命」の常識を変える

なぜ、LOVOTはサブスクリプション方式での販売を選択したのでしょうか。その背景には、従来の「売り切り」モデルに対する課題意識があります。例えば、自動車を「永遠に壊れない」よう設計しようとすれば、そのために過剰なまでの重装備が必要となり、結果的に価格が高騰してしまいます。ロボットにおいても同様で、売り切りを前提にすると、莫大な開発費を含んだ価格で販売しつつ、製造原価を抑えるために性能の低いハードウエアを使わざるを得ず、最終的にユーザー(顧客)を満足させられないという問題が生じていました。林代表は、定期的なメンテナンスを前提とすることで、ロボットが自己修復し、常に最新のサービスを提供できる体制を構築しようと考えたのです。

このサブスクリプションモデルは、製品開発の根幹にかかわる問題でもあります。一般的なトイロボットが3か月から長くても2年程度で飽きられてしまう現状に対し、GROOVE Xは「飽きられないように開発し続ける」という決意を持っています。これにより、お客さんとサービス提供者の間に、製品の改善に対する**「心地よい緊張関係」が生まれ、開発の継続的なモチベーションにつながるという見解です。LOVOTの価格設定は、初期費用が総額の約3分の1程度で、残りを月額費用として使用期間中に定額で支払う仕組みです。これは、4~5年間は使い続けてもらうという前提で、月額料金をかなり抑えた設定になっているとのことです。

失敗事例から学ぶロボットビジネスの課題

一方で、家庭用ロボット業界は必ずしも順風満帆ではありません。トイロボットで知られた米アンキ社や、全自動洗濯物折り畳みロボット「ランドロイド」を手掛けたセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズが経営破綻するなど、苦境に立たされている企業も少なくありません。林代表は、これらの失敗の理由として2点を指摘しています。一つは、「現在のロボティクス技術ではできないことを約束してしまう」ことです。技術の読み誤りや開発期間の長期化により、約束したレベルに到達できないという問題が発生します。

もう一つが、「売り切りを前提とした販売モデル」です。売り切りでは、製品出荷後もシステムの定期的なアップデートが必要となり、自律型ロボット特有の多大な開発費を販売価格に含めなければなりません。結果として、製造原価を低く抑える必要が生じ、それが性能の低いハードウエアの使用につながり、ユーザーの期待に応えられなくなるという課題がありました。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などでは、「高価なロボットを買ってもすぐに飽きそう」「メンテナンスの心配がある」といった、買い切りモデルに対する懸念の声も多く見受けられており、このサブスクモデルへの期待は高まることでしょう。

サブスクが適したサービスと「過剰品質」からの脱却

どのような製品やサービスがサブスクリプションに適しているのでしょうか。林代表は、一つはライドシェアのように「常に必要ではないが、たまに必要となるものをシェアする」ニーズに合うもの、もう一つが、「常に必要だが、メンテナンスとソフトウェアの進化が求められるサービス」だと解説しています。例えば、現在多くのメーカーが開発を進めているクッキングロボットは、メンテナンスが必須であり、レシピが継続的に増えるためソフトウェアの継続的な開発が求められる好例です。

サブスク時代がものづくりにもたらす変化として、まず「オーバークオリティー(過剰品質)」が減ることが挙げられます。例えば自動車は、滅多に使用されない走行距離まで想定して設計され、その分、車体が重く、価格も高くなっていますが、これは本来、不要な設計である可能性があるでしょう。今後は、ソフトウェアとハードウェアの定期的なメンテナンスやアップデートを前提としたモデルが主流になると予測されます。これにより、ソフトウェアの成長余地を残した、十分な性能のエレクトロニクス部品が求められるようになり、逆に機械部品については、定期的なメンテナンスを前提とすることで過剰な品質が要求されなくなり、より軽く、柔らかく、触感の良い素材などが使えるようになるでしょう。

この変化は、企業とユーザーの双方にとって非常に良いものです。ユーザーは契約を通じて企業に対して常に製品の満足度を要求できますし、企業側も製品改善へのモチベーションが高まります。サブスクリプションはまだ浸透し始めたばかりですが、令和の時代は、この「サブスクエコノミー(継続課金型の経済圏)」**が主流になるに違いありません。GROOVE Xが今秋にも発売を予定しているLOVOTは、かわいがってくれた人の顔を認証し、猛アピールするなど、約4キロの小さな体に「かわいい」を実現するテクノロジーを詰め込んだ癒やし系の家庭用ロボットです。このLOVOTの登場は、単なる新製品の発売に留まらず、日本のものづくりの未来、そして私たちの生活様式に大きな一石を投じることになるでしょう。

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