英保守党党首選、「合意なき離脱」容認の強硬派が優勢。ジョンソン氏筆頭も、議会と世論の「ねじれ」が最大の壁

2019年5月24日に退陣を表明したメイ英首相。その後継レースが本格化し、英国の与党・保守党は重大な岐路に立たされています。2019年5月27日までにジョンソン前外相ら9人が立候補しましたが、最大の争点は「合意なき離脱」を巡る姿勢です。SNS上でも「英国はどこへ向かうのか」「強硬派が勝てば経済が大混乱する」と、先行きを憂う声が広がっています。

党内で強硬路線が勢いづく背景には、2019年5月23日実施の欧州議会選挙での保守党の歴史的な惨敗と、明確な離脱を訴える「ブレグジット党」の躍進があります。党首選の最有力候補であるジョンソン氏はこれを「我々への最終警告だ」と総括。「10月末の期限までに、合意があろうとなかろうとEUを離脱すべきだ」と、強硬な主張を鮮明にしています。

「合意なき離脱」とは、EUとの間で何の取り決めもないまま、WTO(世界貿易機関)のルールのみに基づいて離脱する強硬策です。経済的な大混乱が予測されますが、ジョンソン氏ら強硬派は、主権の回復やEU域外との自由な通商協定締結を優先する立場を取っています。

驚くべきことに、立候補した9人のうち、実に5人がこの「合意なき離脱」を容認、あるいは排除しない構えです。ラーブ前EU離脱担当相やゴーブ環境相ら、メイ政権に反発してきた面々が名を連ね、党内が強硬派に傾いている現状が浮き彫りになりました。逆に、スチュワート国際開発相のように「『合意なき離脱』を推進する内閣では働けない」と公言する穏健派は少数です。

しかし、この党内の「強硬派優勢」という流れは、英国議会や国民全体の意識とは大きな「ズレ」を抱えています。新党首は、党議員の投票で2人に絞られた後、約12万人の保守党員による決選投票で選ばれます。2019年5月中旬の調査では、この党員の66%が「合意なしが最良」と回答しており、強硬派に極めて有利な状況となっています。

一方で、英議会では野党を含め約6割が「合意なし」に反対しており、保守党内にも約100人の反対派がいます。ハモンド財務相は2019年5月26日、「議会を無視する首相は長続きしない」と強硬派を牽制しました。国民全体でも意見は分裂したままで、2019年5月初旬の調査では「EU残留支持」(44%)が「離脱支持」(40%)を僅かに上回るという状況です。

党員に支持される強硬な党首が誕生しても、議会との対立というメイ氏が直面した構図は何も変わりません。国内の深刻な分裂をどう乗り越えるのか、新党首は就任早々から、前任者以上に困難な合意形成を迫られることになるでしょう。

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