味噌で知られる老舗メーカー、ハナマルキが、主力調味料である「液体塩こうじ」を原料とした異色の化粧品開発に乗り出しました。これは同社にとって、食品分野以外への初めての本格的な参入となります。共同開発のパートナーは、化粧品メーカーのコスメテックスローランドです。食品としてのみならず、美容分野でも塩こうじの新たな可能性を切り開こうとするハナマルキの挑戦は、大きな話題となるでしょう。
今回開発されたのは「白米糀 塩こうじフェイスパック」という商品で、その最大の特長は、塩こうじに含まれる豊富なアミノ酸が持つ高い保湿効果にあります。古くから、こうじ(麹)が持つ美容効果は注目されていましたが、食品として活用されることが主でした。しかし、ハナマルキは、液体である「液体塩こうじ」を使うことで、他の化粧品原料と均一に混ざりやすいという利点を活かし、これを化粧品へと昇華させたのです。
この画期的なフェイスパックは、2019年7月上旬より、ディスカウントストアの「ドン・キホーテ」で、1万パック限定という形で発売される予定です。価格は170グラム入りで税別1,200円となっています。ドン・キホーテ側から「塩こうじと化粧品の組み合わせが非常に珍しく魅力的である」との声が上がり、この限定販売が実現したとのことです。珍しいものに目がない若年層をはじめ、美容に関心の高い層からの反響が期待されます。
ハナマルキの広報担当者は、このフェイスパックについて、塩こうじに含まれる塩分によって肌を引き締める効果や、こうじ由来のアミノ酸が肌の水分保持をサポートし、キメを整え、ハリを与える効果が期待できると強くアピールしています。パックを顔に5~10分ほど塗布し、洗い流すことで、毛穴の黒ずみを柔らかくする働きもあるとのこと。これは、日本の伝統的な発酵食品が持つポテンシャルを、現代の美容ニーズに合致させた素晴らしい事例であるといえるでしょう。
塩こうじブームの背景と美容への期待
今回の化粧品開発の背景には、調味料としての「液体塩こうじ」の販売好調があります。ハナマルキの塩こうじ分野の売上高は、2018年12月期には10億5,000万円に達し、わずか3年間で約3割も伸長しているのです。特に「液体塩こうじ」は、その手軽さから需要が急増しており、2019年4月には一時的に出荷を停止するほどの人気ぶりでした。しかし、生産体制を強化し、2019年6月には出荷を再開しています。
「塩こうじ」とは、米こうじに塩と水を加えて発酵・熟成させたもので、肉や魚を漬け込むと素材を柔らかくし、旨味を増す魔法の調味料として知られています。この魔法の源こそが、発酵過程で生成されるアミノ酸などの栄養素です。このブームは、健康志向の高まりとともに、発酵食品の持つ底力が再認識された結果でしょう。今回、その「魔法」が、食卓から肌へと活躍の場を広げたことは、まさに自然な流れだといえます。
当社(編集者)は、このハナマルキの異業種への挑戦は、非常に理にかなった戦略であると考えます。発酵食品に含まれる成分は、口から摂取するだけでなく、肌に直接与えることでも高い効果を発揮する事例が過去にも数多くあります。特に、塩こうじに含まれる豊富なアミノ酸やその他の有用成分が、肌細胞に活力を与える可能性は大きいでしょう。今回の「塩こうじフェイスパック」の販売動向によっては、今後、乳液や化粧水といった別の化粧品カテゴリーへの展開も検討されるとのことですから、ハナマルキの美容市場での今後の動きから目が離せません。
ハナマルキは、すでに料理教室のABCクッキングスタジオと連携した「液体塩こうじ」を使った料理教室の開催や、大型飲食店との協力による食パンへの利用など、積極的な販売促進活動を展開しています。こうした多角的なアプローチは、消費者の生活のあらゆるシーンで塩こうじの存在感を高めるでしょう。今回の化粧品への進出は、同社のブランドイメージを「健康的な食」だけでなく、「自然派の美容」という新たなステージへと引き上げる、重要な一歩になるに違いありません。
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