税負担ゼロの裏側!ソフトバンクGの「4000億円修正申告」が照らす税制の深い課題

巨大な投資で知られるソフトバンクグループ(SBG)が、2019年6月19日に関係者への取材で明らかになった税務上の動きで大きな注目を集めています。東京国税局の指摘を受け、SBGは2018年3月期のおよそ4,000億円もの所得を修正申告したのです。この修正は、2016年に買収したイギリスの半導体設計大手であるアーム・ホールディングス社の株式を、同社が運営する巨大ファンドである「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(SVF)へ移動させた際に生じた、税務上の「欠損金」の計上時期に関する見解の相違が原因でした。

このニュースは、SNSでも「日本の税制がおかしいのでは」「納税していないのか」といった驚きと疑問の声が多数上がり、大きな反響を呼んでいます。しかし、SBGの税務処理自体は当時の税法に基づいて行われたものであり、今回の修正申告によっても追加の法人税の負担は発生しない見通しとされています。これは、企業会計上の利益と税務上の損益計算が異なるためで、SBGは2018年3月期に会計上では1兆円を超える連結純利益を上げていたにもかかわらず、日本国内での税務申告は赤字となり、法人税を納めていなかったという背景があるのです。

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巨額欠損金を生み出す「組織再編」のからくり

SBGは2016年にアーム社を約3.3兆円という巨額で買収しました。その後、2018年3月期にはアーム株の一部を、現物出資という形でSVFに移管しました。SBGは、この一部移管に伴い、アーム株の「取得価格」と、その時点での「時価評価額」の差額分などから、2兆円を超える税務上の欠損金が発生したとして、この金額を2018年3月期の税務申告で計上していたと報じられています。今回の東京国税局の指摘は、このうちの約4,000億円分について、計上できるのは2018年3月期ではなく、次期である2019年3月期に当たるとの見解を示したものです。

SBG側は、この指摘に対し「当社と国税局の主張に相違がありました。あくまでも損金算入時期についてのずれであり、国税局の主張も一定の合理性があると判断したことから、修正申告に応じました」とコメントしています。つまり、欠損金そのものの存在が否定されたわけではなく、計上するタイミングにズレがあったという認識です。この4,000億円は、改めて19年3月期の欠損金として処理される見込みです。

専門家が警鐘を鳴らす「税法の課題」と今後の論点

今回の事態が示唆するのは、巨額の欠損金を合法的に作り出し、継続的な税負担の軽減につながる可能性があるという、現行の税制ルールそのものの課題です。日本税制研究所の朝長英樹代表理事(税理士)も、税法には「実際に損が出ていなくても組織再編や資本取引だけで税務上の損を作り出せてしまう側面がある」と指摘しています。ここでいう「税務上の損」とは、企業の実際の経済的な損失ではないにもかかわらず、税金を計算する上でマイナスとして扱える金額、すなわち「欠損金」のことを指します。

このようなケースでは、その取引が本当に経済的な合理性に基づいて行われたのか、それとも単に税金を逃れるための「租税回避」を主な目的としているのかを、しっかりと見極めることが極めて重要になります。私見ではありますが、企業が合法的な範囲で税務上のメリットを追求するのは当然の経済活動です。しかしながら、今回のSBGの事例のように、巨額な企業会計上の利益を計上しながらも、合法的に法人税の納税を逃れている実態が明るみに出ることは、広く国民にとって税制に対する不公平感を生み出しやすいでしょう。この問題を機に、経済実態をより正確に反映しつつ、国際的な競争力も損なわないような、税法のあり方が議論されるべきではないでしょうか。

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