【日本海地震の脅威に警鐘】備えは大丈夫?M6.7山形県沖地震で再認識する津波リスクと防災対策の死角

2019年6月18日午後10時22分ごろ、山形県沖を震源とするマグニチュード(M)6.7の強い地震が発生いたしました。この地震により、新潟県村上市では震度6強という激しい揺れが観測されたほか、山形県鶴岡市でも震度6弱を観測するなど、北陸から東北地方の日本海沿岸部を中心に大きな影響が及んでいます。複数の方々が負傷し、地盤の液状化や土砂災害も相次いでおり、被害の全容把握と被災された方々への救援・復旧活動に全力を尽くすことが最優先の課題となっております。

地震発生直後には津波注意報が発令され、新潟市などで最大10センチメートルの津波が観測されました。幸いにも甚大な津波被害には至りませんでしたが、専門家からは同規模の余震が続く可能性が指摘されており、警戒を怠ることはできません。特に現在は梅雨の時期と重なっており、揺れで緩んだ地盤に雨が加わることで、さらなる土砂崩れや崖崩れといった二次災害を引き起こす危険性が高まっています。被災地では、危険な建物に近づかないなど、引き続き細心の注意を払う必要があるでしょう。

今回の地震は、北海道沖から新潟沖に延びる「日本海東縁部」という、地殻の構造が複雑に入り組み、大きなひずみが集中していると考えられている領域で起きました。この海域で発生する地震は、2004年の新潟県中越地震のように、地震活動が長期化するケースも過去に見られます。また、日本海側の地震は、海底の断層のずれが海水を持ち上げやすいため、津波を伴うことが多いという特徴も知っておくべき重要な事実です。過去を振り返ると、1983年の日本海中部地震や1993年の北海道南西沖地震では、津波が沿岸地域を襲い、多くの犠牲者を出した辛い経験があるのです。

このような状況の中、SNSでは今回の地震に関する様々な情報が錯綜いたしました。被害状況の共有や安否確認が行われる一方で、「地震雲が出ていた」といった真偽不明の投稿も拡散されていました。しかし、気象学の専門家からは、いわゆる「地震雲」と呼ばれる現象はすべて気象学で説明がつくものであり、雲の状態から地震の影響を判断することはできないと明確に否定されています。デマや誤った情報に惑わされず、公的な機関が発信する正確な情報に基づいて行動することが、災害時には非常に大切だと改めて痛感いたします。

日本海側の地震と津波の脅威については、政府が2014年に規模や津波の高さの想定を公表し、警鐘を鳴らしています。沖合にはM7からM8級の地震を引き起こす可能性のある断層が60以上も存在しており、地域によっては高さ3メートルを超える大津波、さらには23メートルに達する津波が押し寄せる可能性があると指摘されているのです。これは、太平洋側で警戒されている南海トラフ地震にも匹敵する、極めて深刻な危機と言えるでしょう。にもかかわらず、国や自治体における事前の備え、特に津波対策は、太平洋岸の対策に比べて「死角」が多いと言わざるを得ません。

津波の浸水が予測される区域を示したハザードマップを未だに公表していない自治体が少なくないのが現状です。住民の生命を守るために、自治体は緊急避難場所となるビルやタワーの整備を急ぐ必要があります。また、私たち住民一人ひとりも、この機会に日頃から避難経路や避難場所を家族で確認し、非常時の備蓄を見直すなど、主体的な防災意識を高めていかなければなりません。公助を待つだけでなく、自助の備えを固めることが、命を守ることに直結するからです。

さらに、日本海沿岸地域には原子力発電所が立地しているほか、高速道路や鉄道といった重要なインフラも海沿いを通っています。これらの重要施設が地震や津波に耐えうる構造になっているかどうかの再検証はもちろんのこと、万が一、交通網が寸断されてしまった場合に、産業界のサプライチェーン(供給網)、すなわち原材料の調達から生産、販売に至る一連の流れをどのように維持・確保していくのかも、企業側が真剣に検討しておくべき喫緊の課題となっています。平時のうちからリスクマネジメントを徹底し、事業継続計画(BCP)を具体化することが求められるでしょう。

今回の山形県沖の地震は、太平洋側の巨大地震対策に注目が集まりがちな中で、日本海側の地震・津波リスクが現実のものであることを私たちに強く再認識させる出来事となりました。これを単なる地方の災害と捉えるのではなく、北海道から九州に至る日本海沿岸全体で、地震と津波に対する備えを包括的に再点検し、対策を強化していく絶好の機会とすべきだと私は強く提言いたします。二度と悲劇を繰り返さないためにも、官民一体となった総合的な防災対策の推進が不可欠でしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました