2019年6月20日、大阪府吹田市で発生した拳銃強奪事件を巡り、驚くべき展開がありました。逮捕された飯森裕次郎容疑者(33)の父親である飯森睦尚氏(63)が、勤めていた関西テレビ放送(関テレ)の常務取締役を退任したことが明らかになったのです。同社は退任の理由を「一身上の都合」と公表していますが、事件との関連は明白で、世間に大きな衝撃を与えています。
飯森睦尚氏は、事件の容疑者が逮捕された6月17日に辞退届を提出しました。これは、本来であれば常務に再任される予定だったところ、自らその座を辞することを決断したことを意味します。この辞退届は、19日に開催された取締役会で正式に受理され、その後の株主総会でも承認されました。この一連の迅速な対応からは、事件の重大性と、容疑者の父親という立場がもたらす社会的な影響の大きさがひしひしと伝わってきます。
翌20日付で新社長に就任する羽牟正一氏は、株主総会後の記者会見で、「本人から申し出があり、その意思を尊重した」と説明しました。メディア企業の幹部という公的な影響力を持つ立場にあった父親が、子息の起こした事件の責任を取る形で辞任するという事態は、まさに異例中の異例と言えるでしょう。これは、組織のトップ層が、たとえ直接的な関与がなくとも、親族が起こした不祥事に対して道義的な責任を感じ、公職を辞さざるを得ないという、現代社会の厳しい倫理観を浮き彫りにしています。
事件発生直後の「信じられない」という衝撃
容疑者の逮捕直後の6月17日、飯森睦尚氏はすでにコメントを発表していました。その中で同氏は、被害に遭われた警察官とそのご家族に対し、「心よりお詫び申し上げます」と謝罪の意を表明しています。さらに、「このような事態となったことについて、大変驚いており、未だ信じられない気持ちがあります」と、親としての衝撃と困惑を率直に示していました。事件で重大な怪我を負わせてしまった警察官の回復を心から祈るという言葉には、深い苦悩がにじんでいたと考えられます。
この一連の報道と、それに続く父親の退任という展開は、SNS上でも大きな反響を呼びました。多くの人々が、事件の凄惨さだけでなく、「優秀な会社員や経営者であったとしても、子供の事件で職を辞さなければならないのか」という点に注目し、様々な意見が交わされました。親の立場と社会的地位が結びつくことで、個人の問題が組織全体、ひいては社会的な問題として捉えられてしまう現代の構造に対して、「厳しすぎるのではないか」「やむを得ない措置だ」など、賛否両論が飛び交う状況が見受けられました。
私自身の見解としては、飯森睦尚氏が顧問という形で引き続き会社に残る(*顧問とは、会社の経営に対して助言や指導を行う役職で、経営の意思決定からは距離を置くことが多い)ことになったとはいえ、常務取締役という会社の中核を担う役職を辞退したことは、社会的影響力を鑑みた賢明な判断だったと評価できます。不祥事が起きた際、その組織の信頼をいち早く回復するためには、トップ層が何らかの形で責任を示すことが不可欠だからです。親の道義的責任は個人の倫理観に委ねられるべきですが、公的な立場の人間にとっては、その責任の範囲は広がり、社会からの視線という名の厳しい「審判」に晒されることとなるのでしょう。
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