2019年6月19日、KDDIは東京都内で定時株主総会を開催いたしました。この総会で、高橋誠社長は、政府からの要請などによる携帯電話の通信料金値下げ圧力という厳しい経営環境に対し、「2022年までの中期経営計画および今期の業績予想は、すでに値下げの影響を織り込んだ上で対応している」と明言されました。これは、主力の通信事業における減収要因をあらかじめ想定し、計画的に対処していくという、同社の強い意志を示すものといえるでしょう。
一方で、社長は「通信事業だけでは成長が難しくなってきている」との認識を示し、今後の成長の鍵は通信以外の新しいビジネスを広げることにあると強調されました。この方針は、単に料金を下げて競争するのではなく、KDDIが持つ顧客基盤や技術を活かして、新たな収益の柱を築こうという積極的な戦略です。この発表に対し、インターネット上では「既存事業に頼らない姿勢は評価できる」「具体的な新規事業の進捗に期待したい」といった声がSNSで多く見受けられ、今後の動向に注目が集まっていることが伺えます。
KDDIが特に注力するのは、法人向けサービスなど個人向けの通信事業以外の**「非個人向け通信」分野です。森田圭取締役執行役員常務は、この非個人向け通信分野の領域を、従来の1兆円規模から1兆5,000億円へと拡大する目標を提示されました。そして、2022年3月期には、この分野で前期比およそ4割増となる約3,800億円の営業利益を目指すとしています。この大幅な増益計画の実現に向け、内訳として「金融」「コマース(EC)」「電気」など、あらゆる領域で成長を目指す“全方位戦略”を展開していく考えを示されました。
この多角的な事業展開は、KDDIが推進する「ライフデザイン戦略」の中核を成すものです。例えば、金融事業では「au PAY」などの決済サービスや証券、保険などを統合した「auフィナンシャルグループ」として生活に必要なサービスを網羅し、ユーザーの日常のあらゆる場面でKDDIのサービスを利用してもらうことで、収益の安定化と拡大を図ろうという狙いがあります。通信技術が人々の生活を支えるインフラとなった今、その基盤の上で様々な付加価値サービスを提供することは、時代の要請に応える賢明な判断といえるでしょう。
次世代サービス「MaaS」と5Gの展望
次世代の移動サービスとして注目を集めるMaaS(マース)、すなわちMobility as a Service**(モビリティ・アズ・ア・サービス)への取り組みについても言及されました。これは、電車やバス、タクシー、シェアサイクルなどのあらゆる交通手段をITで連携させ、一つのサービスとして提供する概念です。森敬一取締役執行役員専務は、トヨタ自動車とソフトバンクが進めるMaaSに関して、「トヨタやそれ以外の企業とも継続して話し合いを進めている」と説明し、ソフトバンクとの先行した取り組みについても、今後も対話を続けていく姿勢を示されました。
また、次世代高速通信規格である**5G(ファイブジー)に関する株主からの質問もありました。5Gは、現在の4Gに比べて通信速度が格段に速くなるだけでなく、「低遅延(ていちえん)」や「多数同時接続」**という特性を持ちます。これは、遠隔医療や自動運転など、社会インフラ全体を変革する可能性を秘めた技術です。総会に参加された西東京市在住の50代男性株主からは、「新規事業やライフデザイン関係での成長努力は評価する」としながらも、「災害対応、建設現場、見守りサービス以外の5Gの新しい活用事例が見えなかった」という、具体的なキラーコンテンツへの期待を示す厳しい意見も出たようです。社会を変えるポテンシャルを秘める5Gだけに、KDDIが今後、どのような革新的なサービスを市場に投入するのか、大いに期待が高まるところでしょう。
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