東南アジアの自動車市場に激震が走っています。日産自動車が、2020年1月をもってインドネシアにおける完成車の生産を全面的に停止することが、2019年11月25日に明らかとなりました。かつて新興国戦略の切り札として華々しく復活を遂げた「ダットサン」ブランドですが、販売不振の波に抗えず、同国での歴史にひとまず幕を閉じることになりそうです。
今回の決定は、単なる減産ではなく、実質的な生産体制の抜本的な見直しを意味しています。インドネシア工業省のプトゥ部長も、2020年1月に「ダットサン・ゴー(GO)」および「ダットサン・ゴー・プラス(GO+)」の製造が中止されるとの報告を受けていると語りました。日産は他の車種についても製造ラインを止める方針を固めており、現地での自社ブランド生産は一時的に途絶える見通しです。
SNS上では、かつての名門ブランドであるダットサンの名が再び消えることに対し、「往年のファンとしては寂しい」「新興国での競争は想像以上に過酷だったのか」といった惜しむ声や、経営の先行きを案じる意見が数多く投稿されています。安価で実用的な車を求める層をターゲットにした戦略は、競合他社との激しいシェア争いの中で、独自の存在感を発揮しきれなかったのかもしれません。
工場存続と三菱自動車へのエンジン供給という新機軸
しかし、日産は完全にインドネシアから足を引き抜くわけではありません。西ジャワ州にある既存の工場設備は維持され、今後は提携関係にある三菱自動車への支援拠点としての役割を強めていく計画です。具体的には、三菱自動車が現地で高い人気を誇るミニバン「エクスパンダー」などの基幹部品となるエンジンの生産工場へと、その機能を大胆にシフトさせます。
ここで言う「完成車」とは、すべての部品が組み立てられ、そのまま公道を走れる状態になった車を指します。一方、今後は心臓部であるエンジンの製造に特化することで、地元の雇用を守りつつ、アライアンス(企業提携)の利点を最大限に活かす構えです。将来的な完成車生産の再開にも含みを持たせており、今回の決断は「撤退」というよりも「再起のための戦略的再編」と捉えるべきでしょう。
生産終了に伴いダットサンの販売は終了する見込みですが、三菱自動車の工場で委託生産されている日産のミニバン「リヴィナ」などは、引き続き市場へ供給されます。編集者としての私見ですが、リソースを集中させるこの選択は、厳しい経営環境下では妥当な判断と言えます。もはや一社で全てを抱え込む時代ではなく、強みを分担し合う柔軟なパートナーシップこそが、生き残りの鍵となるはずです。
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