地域経済を支える!北陸3県信金が急ぐ「事業承継」対応コンサル人材育成の最前線

2019年6月20日現在、北陸3県(富山県・石川県・福井県)の信用金庫が、コンサルティング能力を持つ人材の育成に、かつてないほど注力しています。これは、主要顧客である中小零細企業の多くが、後継者不在の「事業承継」問題や、働き手の確保が困難な「人手不足」といった深刻な課題に直面しているためです。地域密着型の金融機関である信用金庫は、こうした課題解決を専門的に支援する体制を構築し、地域経済の「地盤沈下」を防ぐ重要な役割を担おうとしているのでしょう。

そのための具体的な取り組みとして、職員の専門資格取得を後押しする奨励金制度を導入したり、外部の専門機関に職員を派遣して、経営コンサルタントの国家資格である「中小企業診断士」といったスペシャリストを育てたりする動きが目立ちます。金融機関の収益源の一つである資金運用が、日本銀行の「マイナス金利政策」の影響で低迷を続ける中、地域金融機関として、専門性を高めて顧客の課題解決力を磨くことが、喫緊の課題となっているのです。

富山県魚津市のにいかわ信用金庫では、2019年4月から、正規職員約140名を対象に、税理士や司法書士の資格取得者に10万円、社会保険労務士なら7万円、ファイナンシャル・プランニング技能士1級には3万円を支給する奨励金制度を新設しました。岸和雄理事長は、「事業承継など、コンサルティング業務を強化するには、各職員のスキルアップが欠かせない」と述べており、単に顧客訪問回数を増やすだけではなく、専門知識に裏打ちされた高度な対応力を身につける必要性を強調しています。

富山信用金庫(富山市)も人材育成の重要性を増しているとの認識のもと、2019年春より、入庫3年目までの職員に対し、全国信用金庫協会(全信協)の基礎実務試験などの合格を目標として求めるようになりました。山地清理事長は、「これまで試験に関する統一方針はなかった」としていますが、罰則規定はないものの、職員に向けて専門知識の大切さを強く発信することで、自己啓発を促したい考えでしょう。

高岡信用金庫(富山県高岡市)では、中小企業診断士の資格保有者増を目指し、現在、中小企業大学校へ職員4名を派遣しています。吉岡周理事長は、2020年3月までに資格者数を現状の5名から9名に倍増させる計画を掲げ、「専門知識を備えた職員を増やして、顧客への提案の幅を広げる」と意気込んでおり、今後も継続して職員を同大学で学ばせる方針です。専門知識に裏打ちされた提案力こそが、地域金融機関の生きる道であると捉えられていることが分かります。

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OJTで磨く実践的なコンサルティング力

専門的な資格取得支援だけでなく、実務を通じた実践的な人材育成も非常に活発化しています。福井信用金庫(福井市)は、2017年に本店内に「経営サポート部」を設置し、人材育成の拠点としています。県内支店から集めた若手の営業担当者約10名を同部で法人営業の専門担当者として育成しているのです。2019年4月からは、この経営サポート部の若手職員を、県内支店を分けた5つのブロックそれぞれに担当者として配置し、ブロック内の各支店の法人営業を後方から支援する取り組みを開始しました。

同信用金庫は、「法人営業を専門で担当することで高めたスキルを支店に持ち帰ってもらう」ことを狙いとしており、現場で磨いた経験とスキルが組織全体に波及していくことを期待しています。また、石川県七尾市ののと共栄信用金庫では、一風変わった地域活性化プロジェクトを推進し、職員のコンサルティング能力向上を図っています。同市内の過疎地域で、事業者と住民を結びつけ、特産品開発や体験観光といった事業化を進めるプロジェクトを2018年から展開しています。

このプロジェクトには、若手職員を中心に10名が「コーディネーター」として配置され、関係者との連携・調整を担っています。このような地域に根差した産業創出の取り組みは、従来の金融業務の枠を超えたコンサルティング能力、つまり地域活性化に必要な企画力や調整力を高める貴重な経験となることでしょう。製造業などの小規模・零細企業が多い北陸地域では、今後さらに事業承継などのニーズが高まると予想されており、地域金融機関として手をこまねいていれば、地域の衰退が加速しかねません。

SNS上では、「地元の信金がそこまでやるのは頼もしい」「うちの会社も事業承継で困っているから、専門家が育つのは心強い」といった、地域の課題解決への期待を込めた肯定的な反応が多く見られました。一方で、「資格取得は大事だが、実務経験が伴わないと意味がない」「形式的な制度だけでなく、顧客に寄り添う姿勢も重要だ」といった、人材育成の質を求める声も聞かれます。信用金庫が持つ「狭域密着」という最大の強みを徹底しながら、地域の中小企業の相談対応に優れ、的確な提案ができる人材を育成することは、もはや単なるサービス向上策ではなく、地域経済の命運を握る「最重要経営課題」であると断言できるでしょう。

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