2019年6月21日、トランプ米政権が検討を進めている対中制裁関税の「第4弾」について、米国の巨大テクノロジー企業であるアップルが、米通商代表部(USTR)に対し、主力製品であるスマートフォン(スマホ)などを対象から除外するよう求める意見書を提出したことが明らかになりました。アップルは、この関税措置が「アップルの競争力を損ない、世界の競争相手を有利にする」と強く主張しており、その背景には、中国で生産し米国に輸入している主要製品の多くが制裁の対象となることへの危機感があるでしょう。
この意見書は2019年6月17日付でUSTRに提出されました。アップルの主張の核心は、中国製品への関税が、世界市場でアップルと競合する中国メーカーにはほとんど影響を与えないという点です。例えば、韓国のサムスン電子に次ぐ販売台数を誇りながら、米国市場での存在感が小さい中国の華為技術(ファーウェイ)のような企業は、米国の関税の影響を事実上受けないことになります。一方で、米国企業であるアップルが、自社製品のコスト増という形で不利益を被れば、結果的にファーウェイのようなライバル企業を利することになる、という構造的な問題を指摘しているのです。
米政権は安全保障上の懸念を理由にファーウェイに対して輸出禁止措置を発動するなど、ハイテク分野での対中制裁を強化する動きを見せています。そのため、アップルは、スマホへの制裁関税が、政権と対立するファーウェイを結果的に助長してしまうという点を強調することで、政権に対して原案の撤回を促したい狙いがあると考えられます。この「関税が逆に敵を利する」という論理は、非常に説得力があるように感じられますね。自国の企業を守るはずの政策が、かえって自国の企業の競争力を削ぐ結果になりかねないからです。
今回、USTRが示した第4弾の原案では、年間輸入額で約3,000億ドル(日本円で約33兆円)に相当する約3,800品目の中国製品が対象としてリストアップされています。アップルによると、この対象には、世界中で愛用されている主力のスマホである「iPhone」をはじめ、タブレット端末の「iPad」、そしてパソコンの「Mac」といった同社の主要製品がほぼ網羅されている状況です。もしこれらの製品に制裁関税が課されれば、米国での販売価格の上昇は避けられず、米国の消費者にとって大きな負担となる可能性が高いでしょう。
実はアップルは、2018年9月に発動された「第3弾」の対中制裁関税が検討された際にも意見書を提出しており、その時は腕時計型のウェアラブル端末である「Apple Watch」を対象から除外させることに成功した経緯があります。この過去の成功体験が、今回の強い除外要望の背景にあることは想像に難くありません。USTRは第4弾について、2019年7月上旬に意見公募を締め切る予定で、最終的な対象品目の決定はトランプ大統領の判断に委ねられます。
仮に、スマホやパソコンのような生活に不可欠なハイテク製品が制裁関税によって値上がりすることになれば、それは米国経済全体、特に個人消費に計り知れない大きな影響を与えるでしょう。アップルという巨大企業の競争力だけでなく、多くの米国市民の生活にも直結する問題であるため、トランプ政権がどのような最終判断を下すのか、その動向は世界中から大きな注目を集めているはずです。私たち編集者としても、この米中貿易摩擦の展開が、今後の世界経済、そして私たちのデジタルライフに与える影響を注視していく必要があるでしょう。
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