ポスト・トランプ時代の米国経済はどこへ向かう?製造業重視の限界と「サービス化」への対応を読み解く【2020年代の挑戦】

2020年代のグローバル経済における最大の課題は、経済の脱工業化、すなわち製造業からサービス業へと重心が移行する流れに、いかに適応していくかという点に尽きるでしょう。当時のドナルド・トランプ米政権は、「製造業こそが真の価値を生み出し、持続的な経済成長の基盤である」と強く主張していました。この考え方を突き詰めると、製造業の縮小は貿易赤字を招き、他国に雇用を奪われているという認識につながるため、貿易戦争を通じて相手国の経済を弱体化させることが、戦略の中心となってしまうのです。これは、世界の協調体制を揺るがしかねない、非常に危険な思想であると私は考えます。

実際、当時の米国の製造業(建設業を除く第二次産業)の就業者比率は約10パーセントで、これは英国と並んで主要国の中で低い水準でした。対照的に、ドイツは約21パーセント、日本は約16パーセントとなっています。その一方で、第三次産業、すなわちサービス業の比率は、米英が約81パーセントに達し、日独の70パーセント強を大きく上回る状況でした。英国が欧州連合離脱(ブレグジット)で揺れ動いていても、製造業の比率が5パーセント程度に下がったとしても、それをサービス業拡大の自然な結果と捉え、あえて抵抗しようとはしません。実際に、21世紀に入ってからの英国の経済成長率は、欧州主要国のなかで最も良好に推移しているのです。

しかし、米国では中国の台頭という外的な刺激もあり、製造業の縮小を「競争力の低下」と結びつけ、その復活を目指そうとする動きが見られました。ですが、これは極めて困難な試みでしょう。なぜなら、経済が農業から工業へと移行したのと同様に、工業からサービス業への移行は、経済の自然な流れだからです。この流れに逆行しようとすることは、非効率的であり、やがては無理が生じるはずです。私見ですが、政府が介入すべきは、古い産業の延命ではなく、新しい時代の変化に対応できる人材育成やインフラ整備にこそ注力すべきなのです。

現実の経済では、人工知能(AI)化の波が押し寄せ、これまで知的な作業に従事していた多くの労働者が職を失ったり、低賃金労働に追いやられたりすることで、経済の二極化が一段と進行しています。このAI化とは、人間の思考や学習といった知的活動をコンピューターが代行する技術のことで、特にホワイトカラーの職種に大きな影響を与えています。一方で、成功している企業は、超金融緩和政策という、金利を非常に低く抑える政策の下で、事業から得られる利益よりも金融利益を優先する傾向が強まっています。利益が増えたり、減税を受けたりしても、実物経済への投資、すなわち工場建設や設備投資ではなく、株主への還元を重視する姿勢が目立つようになりました。このような状況では、たとえ貿易摩擦が激化しても、国内の経済に見通しは開けてこないでしょう。

しかし、それでも米国には、自らを省みる力があります。企業統治、つまりコーポレートガバナンスに対する反省が生まれ、「資源をもっと生産的な投資へ振り向けよ」という主張が声高に叫ばれているのです。これは非常に米国らしい、健全な議論の進展だと言えます。教育への投資や環境への投資といった、将来の成長に資する公共政策論は、民主党だけでなく、共和党のマルコ・ルビオ上院議員らからも提唱され、新たな道を模索しています。これは、米国経済がトランプ政権の思想から脱却し、新しい時代へと舵を切り始めた、ポスト・トランプ時代の幕開けを示しているのでしょう。この動きが、2019年6月21日時点で、いかに社会を動かしていくか、今後を注視する必要があります。

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SNSでの反響に見る製造業とサービス業の未来

当時のSNS上での反響を見てみると、この記事が指摘する「製造業からサービス業への自然な移行」については、賛否両論が巻き起こっていました。「製造業の空洞化は国力の低下だ」とトランプ政権の主張に同調する声がある一方で、「時代は知識集約型のサービス経済に移っている。製造業にこだわるのは古い」といった意見も多く見受けられました。特に、若年層からはAI化や二極化への懸念が強く、「低賃金に追いやられる未来が見える」「スキルアップのための教育投資こそ最優先すべきだ」といった、切実なコメントが多数投稿されていました。企業側が短期的な株主還元を優先し、実物投資に消極的である現状への批判も多く、国民の不満の矛先が、既存の資本主義のあり方自体に向かっていることが示唆されているのです。これらの反響は、この記事が提起した論点が、当時の米国社会が抱える根深い問題と強く結びついている証拠と言えるでしょう。

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