深刻化する物流業界の人手不足に対応し、新しいビジネスの創出を目指して、政府が「無人配送ロボット」の実用化に大きく舵を切りました。2019年度中にも、ヤマト運輸や楽天といった大手企業と連携し、公道での実証実験を実施する計画です。この動きは、自動運転技術を活用した配送ロボットを、カメラや全地球測位システム(GPS)の情報に基づき、無人で荷物を配達先に自動で届けることを想定したものです。社会実装を視野に入れたこの取り組みは、日本の物流システムに大きな変革をもたらす可能性を秘めていると言えるでしょう。
この実証実験に向けて、政府は2019年6月24日に官民協議会を立ち上げ、事故が発生した場合の責任の所在や、ロボット自体の安全性など、実用化に向けた具体的な課題を徹底的に洗い出す方針です。過度な規制が技術革新に基づく市場の発展を妨げることがないよう、政府は慎重かつ迅速に検討を進める構えで、2020年以降の道路交通法(道交法)改正も視野に入れながら、社会に受け入れられるためのルールの整備を進めていくことになるでしょう。
💡官民一体で挑む!無人配送ロボット公道実験の詳細
官民協議会には、ヤマト運輸や楽天のほか、日本郵便、パナソニック、三菱地所、そして自動運転技術開発で知られるZMP(ジーエムピー)といった、物流から不動産、テクノロジーまで幅広い分野の主要企業が参加を予定しています。さらに、政府からは警察庁、国土交通省、経済産業省の3省庁が加わり、地方自治体も巻き込んだオールジャパン体制で、実証実験とその後の制度設計を進めていく模様です。この多岐にわたる参加者は、無人配送の実現には技術開発だけでなく、法制度、インフラ、社会受容性のすべてが不可欠であることを示していますね。
特に、運送会社の最寄りの配送拠点から受取人の自宅など、最終目的地までの短距離区間は「ラストワンマイル」と呼ばれており、小口で細かい路地を回ることが多いため、多くの人員を必要とする物流の難所とされています。この区間こそ、無人配送ロボットによる効率化が最も期待される領域です。協議会では、物流会社やメーカーが実証実験を通じて安全性を確保する方法を調査し、不動産会社はエレベーターなどの屋内設備と連携したシームレスな無人配送の検討を進めるなど、具体的なユースケースの構築を目指すことになるでしょう。また、無人走行に必要な高精度な地図、いわゆる「無人走行用地図」の整備についても重要な議論が交わされる予定です。
🌐世界で加速する開発競争と日本の課題
無人配送ロボットをめぐる開発競争は、世界的に激しさを増しています。すでに海外では、米国で法整備が進められているほか、欧州の一部地域では実証実験が開始されています。具体的には、中国のEC大手である京東集団(JD.com)がロボット配送を導入しているほか、欧米に拠点を置くスターシップ・テクノロジーズが、イギリスやドイツで無人ロボットによるピザの配達を実践しているのです。日本も技術的には追随しているものの、法制度の整備という点では国際的にやや出遅れている状況にあると言わざるを得ません。
現在の道交法では、無人ロボットは「無人運転の車両」と解釈されてしまうため、原則として公道を走行することができません。また、歩道を無人で走行することについても想定されていないのが現状です。今回の実証実験は現行法の枠内でも実施可能ですが、政府関係者の見解では、本格的な実用化には「道交法をはじめ、関係法令の改正が必要となる可能性が高い」と見られています。今後、協議会で運行形態や安全性の基準について深く議論を重ね、日本の社会インフラに適した形で法改正を進めていくかどうかが検討されることになるでしょう。この一歩が、日本の物流の未来を左右すると言っても過言ではありません。
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