【2019年】地銀の危機!トップ交代続出で迫られる「稼ぐ力」への大転換~金融庁と市場の圧力が高まる地方銀行の未来~

地方銀行(地銀)界隈では、2019年に入り、トップである頭取の交代が相次ぐ異例の事態が起こっています。全国に100行以上ある地銀・第二地銀の中で、少なくとも15行で顔ぶれが変わる見込みとなっており、これは前年の10行程度と比べても増加傾向にあるのです。特に、大垣共立銀行のように在任期間が10年を超える「地元経済界の重鎮」とされる頭取の交代が目立っており、その背景には、長年にわたり地方銀行を悩ませてきた人口減少や、日本銀行が推し進めるマイナス金利政策による超低金利環境の長期化といった、避けられない厳しい経営環境が深く関係していると言えるでしょう。

このトップ人事の激しい動きは、単なる世代交代だけでは片付けられません。地銀は現在、金融庁から再編をも視野に入れた抜本的な経営改革を強く求められている状況にあります。また、株式市場からの厳しい目線も圧力となっており、多くの地銀で株価が低迷している現状があるのです。長野銀、愛知銀、武蔵野銀など、2019年に頭取交代を発表した主な地銀・第二地銀は、日本経済新聞の集計だけでも15行に上り、これは地方金融機関の「激変する経営環境」(地銀関係者)への危機意識の表れと解釈するのが妥当でしょう。在任が長期にわたった頭取が会長職などに退くケースが多く、新体制はいきなり多くの難題に直面することになります。

私が編集者として強く感じるのは、これらの交代は「道半ばの改革」を新経営陣に引き継ぐ切実なバトンタッチだということです。例えば、新潟県の大光銀行では、2019年5月にトップ交代が発表されましたが、前頭取は記者会見で「地域金融の厳しい環境」という言葉を繰り返し、少子高齢化と地方経済の縮小がこの10年でより鮮明になったと説明しています。新潟県では、すでに県内の有力行である第四銀行と北越銀行が経営統合し、第四北越フィナンシャルグループが発足するなど、再編の波が押し寄せています。こうした中で、大光銀行が、長らく続いた旧大蔵省(現在の財務省)出身者による頭取体制を改め、約40年ぶりに生え抜きのトップを据えたのは、局面を打開したいという強い思惑が透けて見える動きではないでしょうか。

スポンサーリンク

金融庁の新指針が迫る「稼ぐ力」への転換

地方銀行を取り巻く環境を一層厳しくしているのが、金融庁が2019年4月に公表した地域金融機関に対する新しい監督指針です。これまで金融庁は、銀行の経営が健全かどうかを判断する目安として、手元の自己資本比率(**専門用語解説:**自己資本比率とは、銀行が持つ自己資本が、リスク資産の総額に対してどれくらいの割合を占めているかを示す指標で、この比率が高いほど経営の安全性が高いとみなされます)といった「今」の財務の安全性を主に見てきました。

しかし、新指針ではこの判断基準が大きく変わり、今後は将来にわたる「稼ぐ力」、すなわち収益性を重視する方針へ転換されたのです。これは、本業である貸し出しや手数料収入で継続的に赤字が続くような、収益力の低い地銀を重点的に監視し、早期に経営改革を促すことを狙いとしています。金融庁の遠藤俊英長官は、同年1月に開催された地銀頭取との意見交換会で、「抜本的な経営改革は、自らの任期中に決断し実現するとの認識を持ってほしい」と強く訴えかけています。

この金融庁の姿勢は、改善が見られない地銀に対しては、経営責任の明確化を含む業務改善命令などの発動も視野に入れるという非常に厳しいものです。ある地銀の幹部は「収益力の低い銀行は戦々恐々としている」と漏らしており、SNS上でも「地銀再編は避けられない」「地元経済のためにも、早急な改革が必要だ」といった意見が飛び交うなど、市場や世論の関心も非常に高まっています。私の見解としては、金融庁はもはや猶予を与えないという強いメッセージを発しており、これは長年の経営課題の先送りを許さないという明確な意思表示でしょう。

課題先送りの余裕はない!新経営陣の眼前にある難題

地方銀行が厳しい状況下にあることは、様々なデータからも裏付けられています。日本銀行が2019年4月に公表した金融システムリポートの試算では、なんと約6割もの地銀が10年後には最終的な赤字に陥る可能性があるという驚きの結果が示されました。本業の苦戦に加え、これまで収益を補完してきた有価証券運用においても、低金利による利回りの低下や市場変動のリスクといった逆風が吹いており、経営の多角化は待ったなしの状態にあります。

地銀には、不採算部門である店舗の統廃合といったリストラや、地域のライバル行との経営統合・再編といった対策を打つ余地は残されています。また、単に融資をするだけでなく、地元企業の販路拡大や事業再生を積極的に支援し、地域経済を活性化させることで、結果的に融資の拡大へとつなげるという前向きな戦略も可能です。しかし、「過疎地の支店をなくせば、地域に密着したサービスが提供できなくなる」といった地域社会との摩擦を恐れる声が根強く、思い切ったリストラに踏み切れていない地銀が多く存在するのが実情でしょう。

デジタルサービスへの対応や、新たな収益源となる成長戦略を描き切れていない地銀も少なくありません。多くの地銀にとって、もはや課題を先送りできる猶予は完全に失われたと言ってよい状況です。金融庁幹部からも「経営を立て直すことをせずに第一線を退く頭取がいる」と問題視する声が上がっており、これは改革を怠った経営責任を問うているに等しいでしょう。2019年新たに就任した地銀の経営陣は、地域経済と行員の生活、そして銀行の未来を背負い、就任早々、抜本的な立て直しという重い使命に取り組むことになるでしょう。今後の地銀の動きに、引き続き注目していく必要がありそうです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました