巧妙化するサイバー犯罪の手口に対し、ついに「予測」という守りの一手が放たれます。キヤノンマーケティングジャパンは、セキュリティー界の旗手であるスロバキアのESET(イーセット)社と提携し、サイバー攻撃の予兆をいち早く捉える画期的なサービスを2020年1月に開始すると発表しました。従来の「被害が出てから対処する」という守身の姿勢から、攻撃を未然に防ぐ攻めのセキュリティーへと、日本のIT環境は大きな転換点を迎えています。
今回のサービス名は「ESET Threat Intelligence(イーセット スレット インテリジェンス)」です。ここで注目すべき「スレット インテリジェンス(脅威インテリジェンス)」とは、世界中に散らばる膨大なデータから攻撃者の動向や攻撃手法を分析し、自社が直面するリスクを可視化する技術を指します。いわば、サイバー空間における「高度な気象予報」のような存在であり、どの地域にどのような嵐(攻撃)が近づいているかを事前に察知できるのです。
その精度の源泉は、圧倒的な情報網にあります。世界中で稼働している1億台以上の端末から収集されるマルウェア(悪意のあるソフトウェア)の情報のほか、ハッカーたちの隠れたコミュニティを監視して得た情報を組み合わせて解析を行う仕組みです。これに対し、SNS上では「1億台のネットワークは圧巻」「予知ができれば対策のコストも抑えられるのではないか」といった、未知の脅威に対する期待の声が早くも広がっています。
特定企業を狙う「標的型攻撃」のリスクを未然に回避
昨今、特定の組織を狙い撃ちにする「標的型攻撃」が社会問題化していますが、本サービスはまさにその特効薬となるでしょう。2019年11月15日の発表によると、悪意のあるファイルや危険なURLを特定するだけでなく、今後起こり得る攻撃のリスクを事前に通知する機能も備えています。ESET社が情報を精査することで「誤検知」を最小限に抑え、信頼性の高いデータとして提供される点は、現場の担当者にとって非常に心強いはずです。
主な導入対象としては、ITサービスプロバイダーや大手企業のセキュリティー専門部門が想定されています。価格は利用形態により変動しますが、年額200万円から300万円程度になる見通しです。一見すると高価に思えるかもしれませんが、一度情報漏洩が発生した際の損害賠償や社会的信用の失墜を考えれば、この「予報」に投資する価値は十二分にあると私は考えます。
もはや、セキュリティー対策は「導入して終わり」の時代ではありません。刻一刻と変化する敵の動きを読み、先手を打つことが企業の命運を分ける鍵となります。キヤノンマーケティングジャパンが提供するこの新たな知見が、日本のビジネスシーンに安心と安全をもたらすことを切に願っています。日々進化を続けるデジタル社会において、2020年1月のサービス開始は、私たちのデータ保護のあり方を根本から変えてくれることでしょう。
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