海洋プラスチック問題に立ち向かう!「コモンズの悲劇」を防ぐ市民参加の重要性とソーシャル・キャピタルの力

私たちの身の回りにある豊かな自然環境は、なぜこれほどまでに過剰に利用され、劣化の道を辿ってしまうのでしょうか。大阪商業大学の原田禎夫准教授による連載「サーキュラーエコノミーを考える」の最終回となる2019年11月20日、私たちは未来を守るための重要な示唆を受け取りました。

一般的に市場で売り買いされる商品とは異なり、海や森、水といった天然資源は「誰でも使える」という特性を持っています。しかし、これらは無限ではありません。再生する力を上回るスピードで消費されれば、あっという間に底を突いてしまう危うさを孕んでいます。

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誰もが陥る「コモンズの悲劇」という罠

生態学者のギャレット・ハーディン氏が提唱した「コモンズの悲劇」という概念をご存知でしょうか。これは、誰のものでもない共有資源(コモンズ)において、個々人が自分の利益を最大化しようと自由に行動した結果、資源が枯渇し全員が不利益を被る現象を指します。

例えば、持ち主が明確でない森での乱伐や、海での魚の乱獲などが典型的な例と言えるでしょう。ハーディン氏は、この悲劇を避けるには「完全な公有化」か「私有化」しかないと説きました。しかし、実際には特定のルールを設けることで、資源を守り続けてきた歴史も存在します。

そこで注目されたのが、女性初のノーベル経済学賞に輝いたエリノア・オストロム氏の研究です。彼女は世界各地の事例を分析し、国家や市場の強制がなくとも、地域住民が自律的に資源を管理し、長期的に維持・発展させることが可能であることを証明してみせました。

ソーシャル・キャピタルが社会を救う鍵になる

人々が互いに信頼し、手を取り合って行動できる社会では、より効率的で豊かな暮らしが実現します。こうした人々の繋がりや信頼関係の蓄積を、専門用語で「ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)」と呼び、今その価値が再評価されているのです。

この資本が豊かな地域では、住民の健康状態が良好であったり、政治への参加意欲が高まったりといったプラスの効果が報告されています。逆に、個々人が自分勝手に振る舞う社会では、小さなトラブルの解決にも膨大な税金を投入せざるを得ないという皮肉な結果を招きます。

SNS上では「一人一人の意識が社会のコストを下げる」「近所付き合いも一種のインフラなんだ」といった共感の声が広がっています。私たちは、公助や自助だけでなく、共に支え合う「共助」の力を再構築すべき時代に生きているのだと強く感じさせられます。

21世紀の課題「海洋プラスチック汚染」への挑戦

現代において、まさに「21世紀のコモンズの悲劇」と呼ぶべき深刻な問題が、海洋プラスチック汚染です。2019年11月20日現在、この問題の解決を政府や企業の対応だけに委ねていては、到底手遅れになってしまうという危機感が募っています。

企業が社会から事業の継続を認められる「社会的営業免許(ソーシャル・ライセンス・トゥ・オペレート)」という考え方も重要ですが、それを支えるのは私たち市民の厳しい目と積極的な参加です。市民が主体となって動くことが、最も低コストで豊かな社会を築く近道となります。

私自身の考えとしては、環境問題はもはや「意識の高い誰か」の活動ではなく、私たちの生存戦略そのものであると確信しています。一人一人がコモンズの担い手であるという自覚を持つこと。その小さな一歩が、広大な海と私たちの未来を救う唯一の希望となるでしょう。

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