秋の気配が深まる山梨県甲府市の「常磐ホテル」にて、囲碁界の歴史を塗り替える激闘が繰り広げられました。2019年11月16日の午前中から対局が始まった第67期王座戦五番勝負の第2局は、午後6時10分に劇的な結末を迎えています。5連覇という大記録を目指す井山裕太王座が、勢いに乗る若き挑戦者、芝野虎丸名人を相手に211手で黒番中押し勝ちを収めました。
今回の勝利により、シリーズ対戦成績は1勝1敗の五分へと戻りました。まさに王座のプライドが炸裂した一局と言えるでしょう。SNS上でも「やはり井山さんは崩れない」「ここ一番での修正能力が凄まじい」といったファンからの驚きと称賛の声が溢れ、トレンドを賑わせています。20歳の若き天才・芝野名人がリードを広げるのか、それとも30歳の絶対王者が意地を見せるのか、手に汗握る展開から目が離せません。
対局を振り返ると、序盤から非常に興味深い展開が見られました。井山王座は、近年のトレンドであるAI(人工知能)が導き出した最新の手法を取り入れ、スピーディーに自陣の陣地(地合い)を確保していきます。これに対し、芝野名人は中央に巨大な勢力「厚み」を築き上げ、盤面全体を圧倒する構えを見せました。囲碁における「地」は目に見える得点ですが、「厚み」は将来的な攻撃力を秘めた可能性の空間であり、その対比が鮮明でした。
試合が動いたのは右辺の攻防です。井山王座が鋭く踏み込んだ一手に対し、芝野名人が厳しく石を切り離して応戦した場面では、立会人の小林光一名誉棋聖らも「挑戦者が主導権を握った」と分析していました。しかし、一瞬の隙を見逃さないのが絶対王者の恐ろしさです。上辺の攻防で芝野名人にわずかな緩みが生じると、井山王座は雷光のようなスピードで左上の大石を仕留め、勝利を決定づけました。
解説の山下敬吾九段も、井山王座がチャンスを一気に手繰り寄せ、その後は相手に全く隙を与えなかった鉄壁の指し回しを絶賛しています。個人的な見解としては、若手の勢いを正面から受け止めつつ、最新のAI研究と独自の勝負勘を融合させた井山王座の進化に驚かされました。2019年11月18日には、同じ会場で第3局が行われます。この勢いのまま王座が逆転するのか、名人が立て直すのか、囲碁界の未来を占う大勝負は続きます。
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