福井県に本拠を置く老舗商社の三谷商事が、新たな成長の舞台を東南アジアへと広げました。同社は2019年11月30日までに、子会社の東アジアキャピタルを通じて、シンガポールで飼料原料を取り扱う専門商社「MJI UNIVERSAL」の株式70パーセントを取得したと明らかにしています。買収額こそ明らかにされていませんが、今回の決断は三谷商事にとって極めて挑戦的な一歩となるでしょう。
今回買収されたMJI社は、2007年に設立された新進気鋭の企業です。主な事業内容は、大手食肉加工メーカーから家畜用の「配合飼料」の材料を仕入れ、インドネシアや中国などアジア全域へ届けるというもの。ここで言う配合飼料とは、トウモロコシや大豆粕などを、動物の成長に合わせて最適な栄養バランスで混ぜ合わせたエサのことです。食の欧米化が進むアジア諸国において、これらは欠かせない戦略物資と言えます。
MJI社の経営成績は非常に好調で、2018年12月期には売上高が約210億円、純利益は約3億6000万円を記録しました。SNSなどネット上の反響を覗いてみると、「地味な分野に見えるが、人口爆発が続くアジアでの食料需要を見越した賢い先行投資だ」といった、その先見性を評価する声が目立っています。まさに、生活の根幹を支える「食」のインフラを抑えにいく戦略といえるでしょう。
三谷商事自体は、これまで飼料原料の輸入販売を直接手掛けてきた実績はありません。しかし、長年の事業経営で培った商社としての運営ノウハウを注入すれば、十分に相乗効果が期待できると判断したようです。私は、既存の枠組みに捉われず、自社の「目利き」と「マネジメント力」を武器に異業種へ飛び込む姿勢こそが、成熟した日本企業が生き残るための正解の一つだと感じています。
現在、三谷商事の売上全体に占める海外比率は1割に満たない状況ですが、同社は北米や東南アジアでのM&Aを積極的に進める方針を打ち出しています。2018年10月には、アジア圏での買収を専門に担う持株会社として東アジアキャピタルを設立するなど、布石は着実に打たれてきました。世界的な食糧需要の増加を背景に、同社がアジアの台所を支える巨大資本へと成長していくのか、今後の展開に目が離せません。
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