消費増税でもビール市場は堅調?2019年10月の販売動向とラグビーW杯がもたらした「熱狂の余波」

2019年10月、日本のビール市場に大きな変化が訪れました。ビール大手4社が発表した販売実績によると、消費増税の影響を色濃く受け、市場全体では前年同月比で約12%の減少を記録したようです。2桁のマイナスを記録するのは2018年5月以来の出来事であり、数字だけを見ると非常に厳しい冬の到来を予感させます。しかし、業界内ではこの結果を悲観しすぎる必要はないという、前向きな空気が漂っているのも事実です。

SNS上では「増税前に買いだめしたから今は控えている」という声が目立つ一方で、「キャッシュレス決済の還元があるから思ったより安く買える」といった投稿も散見されます。この「キャッシュレス・ポイント還元事業」とは、中小店舗などで電子マネーやカード決済を行うと最大5%が還元される仕組みのことです。この施策が功を奏したのか、各社の販売減少幅は当初の予想よりも小さく留まったと考えられています。

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メーカー各社の攻防と消費者の選択

各社の詳細を見ると、アサヒビールは主力商品「スーパードライ」が12%減となり、全体で13%のマイナスを記録しました。またキリンビールも全体で13%減となりましたが、ビールの落ち込みを1桁に抑える健闘を見せています。特筆すべきはサントリービールで、減少幅を6%に留めており、他社に比べて底堅い人気を証明した形です。サッポロビールも全体で8%減と、ブランドごとの戦略が如実に数字へ表れる結果となりました。

ここで注目したいのが、一般的に「第三のビール」と呼ばれる新ジャンル飲料です。これは酒税法上、麦芽比率を低くしたり、別のアルコール原料を加えたりすることで税率を低く抑えたビールの代替品を指します。節約志向が高まる中でこのカテゴリーの動向が注目されましたが、10月は駆け込み需要の反動もあり、各社ともに調整局面を迎えました。しかし、11月にはこの反動も解消されるとの見通しが強まっています。

ラグビーW杯の熱狂が支えた9月・10月の合算実績

興味深いことに、増税前の駆け込み需要が発生した2019年9月と、その反動が出た2019年10月の2ヶ月間を通算すると、前年比で2%の増加に転じているのです。この要因として外せないのが、日本中を沸かせたラグビーワールドカップ(W杯)の開催でしょう。熱い試合を観戦しながらビールを楽しむ「特需」が、増税による買い控えという冷や水を吹き飛ばしたと言っても過言ではありません。

編集者としての私見ですが、今回のような増税局面において、単なる「価格」だけでなく「体験」が消費を動かした点は非常に重要だと感じます。ラグビーW杯という一大イベントがもたらした高揚感や、例年より高めだった気温が、人々の喉を潤したいという欲求を支えました。数字上の「12%減」という衝撃に惑わされず、市場の底流にある活力を冷静に見極めるべき時期に来ているのではないでしょうか。

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