がん治療の世界に、今まさに「革命」の波が押し寄せています。これまで一部の白血病など「血液のがん」において、劇的な回復をもたらしてきた次世代の治療法「CAR-T(カーティー)療法」。この画期的な免疫細胞療法を、患者数の多い肺がんや食道がんといった「固形がん」へ応用する研究が、2019年11月18日現在、日本のトップクラスの研究機関で加速しているのです。
CAR-T療法とは、患者さん自身の血液から取り出した免疫細胞(T細胞)に、がん細胞を正確に狙い撃ちするための「アンテナ」となる遺伝子を組み込み、再び体内に戻す治療法です。SNS上では、従来の治療法では手の施しようがなかった患者さんが劇的に改善した事例に対し、「まさに現代の魔法のようだ」「医学の進歩に涙が出る」といった驚きと期待の声が数多く寄せられています。
固形がんの「壁」を打ち破る三重大と慶大の新戦略
血液のがんと異なり、胃や肺などの「固形がん」は細胞が強固な塊を形成しているため、免疫細胞が内部に浸透しにくいという大きな壁がありました。しかし、三重大学の珠玖洋教授らは、がん細胞の目印となる「ペプチド(タンパク質の断片)」を狙い撃ちする新手法を開発したのです。マウス実験では投与から約30日後にがんが消失するという驚くべき成果を上げており、2020年度中の治験開始を見据えています。
一方、慶応義塾大学の河上裕教授らのチームは、多くのがん細胞の表面に存在する「GPC1」という分子を標的に定めました。この特定の分子を狙うことで、肺がんや子宮頸がんなどに対しても攻撃力を高めることに成功しています。さらに、既存の免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせることで、相乗効果が得られることも判明しました。こうした多角的なアプローチは、がん治療の選択肢を劇的に広げるでしょう。
立ちはだかる「高額な治療費」と「安全性」の課題
夢のような治療法ですが、普及には課題も残されています。現在承認されているCAR-T治療薬「キムリア」の価格は3300万円を超えており、国家の医療財政を圧迫する懸念も指摘されています。また、副作用として「サイトカイン放出症候群」という過剰な免疫反応が起きるリスクもあり、これらをいかに制御しつつコストを下げるかが、実用化に向けた最大の焦点となるはずです。
私は、このCAR-T療法の固形がんへの応用こそが、人類ががんを克服するための「最後の一手」になると確信しています。武田薬品工業などの民間企業も参入し、京都大学ではiPS細胞を用いた免疫細胞の量産化研究も進んでいます。2019年5月に日本で実用化が始まったばかりのこの技術が、近い将来、あらゆるがん患者さんにとっての「当たり前の希望」になる日が来ることを切に願ってやみません。
コメント