「忙しい時間帯でも、心から歓迎されていると感じたい」——そう願うビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。今回は、接客アドバイザーの北山節子氏が、販売員時代から足繁く通ったという牛タン専門店「ねぎし」で体験した、驚くべき「歓待の接客」についてレポートいたします。北山氏に誘われ、ねぎしを初めて訪れた知人男性(60)は、席に着くやいなや「本気で歓迎されている感じがする」と感嘆の声を上げました。
その男性がそう感じたのは、まず「いらっしゃいませ」の声掛けにありました。ランチのピーク時にもかかわらず、店員さんはきちんと目を見て挨拶をしてくれたといいます。他の飲食店では、混雑を理由に「忙しいのに来たのか」といった対応をされることが少なくなかったため、この心からの歓迎ムードに非常に好印象を持ったのでしょう。また、二人が迷わず奥のテーブル席に通されたことも、顧客の立場を尊重するサービスとして評価されました。他の店では、空席があっても店側の都合でカウンター席に案内されることに慣れていた男性にとって、ゆったりとしたテーブル席への誘導は、まさしく特別な体験だったに違いありません。
注文の際にも、ねぎしのホスピタリティが光ります。食べたいものが決まった瞬間、絶妙なタイミングで店員さんと目が合い、笑顔でサッと席まで来てくれるのです。これは、店員さんが常にお客様一人ひとりの状況を視野に入れ、細やかに気を配っている証明と言えるでしょう。お客様を「視野に入れる」という姿勢は、接客の基本中の基本でありながら、多忙な時間帯には忘れられがちなポイントです。ねぎしでは、これが自然と実践されているからこそ、お客様はストレスを感じることなく快適に食事を楽しめるのでしょう。
お客様を「驚かせる」おかわりサービスと店長の真摯な対応
ねぎしのランチメニューは、主菜の牛タンはもちろん、とろろや小鉢がつく魅力的な定食スタイルで提供されています。そして、特筆すべきは「麦めしのおかわり自由」というサービスです。知人男性は、これまで他店で「おかわり自由」を謳っていながら、実際に頼むと面倒くさそうな顔をされたり、ご飯が出てくるのが遅かったりする経験があったため、正直あまり期待していませんでした。
しかし、ねぎしではその予想を裏切る対応が待っていました。おかわりオーダーへの快い返事はもちろんのこと、ホカホカに炊き立てられた麦めしを、笑顔とともにすぐに提供してくれたのです。この気持ちの良い対応は、男性を心から驚かせ、満ち足りた気持ちにさせました。食後に男性が店長らしき人物に「本当に良いお店ですね」と伝えると、店長はそれを真っ直ぐ受け止め、「ありがとうございます。スタッフに伝えます」と返しました。このように、お客様からの率直な称賛を真摯に受け止め、現場のスタッフに還元しようとする姿勢こそが、ねぎしの高い接客レベルを支える土台となっているのでしょう。
北山氏がねぎしに通っていた1990年代と比べ、現在(2019年6月)では店舗数が数倍に増えているとのことです。私は、この事業の拡大と、お客様を感動させるほどの接客の質の高さは、決して無関係ではないと考えます。接客が良ければお客様の満足度が向上し、リピーターが増えることで、自然と店舗展開の原動力となっていく、という理想的なサイクルが生まれているのではないでしょうか。忙しいランチタイムでも「歓待」を体現するねぎしの接客は、まさに顧客体験(CX:カスタマーエクスペリエンス)を重視する現代ビジネスにおいて、最高のおもてなしのお手本と言えるでしょう。
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