北海道経済連合会(道経連)は、2019年6月20日に公表した「人手不足対策に向けた労働力需給調査」の結果で、衝撃的な試算を明らかにしました。それは、北海道の実質道内総生産(GDP)を2030年においても現在の水準に保つためには、26万人分もの労働力が足りなくなるというものです。この数字は、人口減少の影響が色濃く出てくる中で、道内経済の持続的な発展がいかに困難な課題に直面しているかを物語っています。
具体的に見てみましょう。2015年の道内GDPは18兆2,000億円でしたが、人口減による労働力の減少を考慮すると、2030年には16兆2,000億円にまで縮小してしまう見込みです。この2兆円の経済規模の縮小を食い止め、2015年と同じ水準を維持するためには、単純計算で26万人に相当する働き手の確保が急務とされています。この試算が発表された直後から、SNS上では「やはり北海道の人口減少は深刻だ」「どうやって26万人も集めるのか」といった、危機感を示す反響が多く見受けられました。多くの方がこの問題を「人ごとではない」と感じている証拠でしょう。
道経連は、この大きな課題を乗り越えるため、二つの柱となる対策を提言しています。一つは、「都市部の就業率向上と多様な人材の確保」です。現在、道内都市部の生産年齢人口(15歳から64歳までの働くことが可能な年齢層)の就業率は、全国平均に比べて低い水準にあります。例えば、男性の就業率は71%で全国平均より3ポイント低く、女性も57%とこちらも3ポイント低い状況です。道経連は、これを政令指定都市の上位5都市の平均水準(男性78%、女性64%)まで引き上げることが可能だと指摘しています。
この就業率の引き上げに加え、65歳以上の高齢者の皆様にも活躍していただくことで、約17万人分の働き手を確保できるとしています。さらに、多様な人材を確保する手段として、外国人が働きやすい環境を整備することも、喫緊の課題であると提言されています。北海道の豊かな自然と住みやすさ、そして食の魅力を考えると、外国人労働者にとって魅力的な働き場所となる可能性は非常に高いでしょう。
もう一つの柱は、「IT活用による生産性向上」です。26万人分の労働力不足のうち、約17万人分は上記の人材確保策で補う計画ですが、残りの9万人分は、労働者一人あたりの生産性を高めることで補う必要があります。生産性とは、投入された資源(この場合は労働力)に対してどれだけの成果(GDP)が生み出されたかを示す指標です。道経連は、情報技術(IT)を駆使することによって、就業者1人あたりのGDPを3%高めることが可能だと試算しています。これは、AIやロボティクスといった**デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、従来の働き方を変革することが、今後の北海道経済の成長の鍵を握るという強いメッセージに他なりません。
私は編集者として、この試算に未来への希望を見出しています。たしかに26万人という数字は重いですが、道経連が示す具体的な対策は、北海道が本気で「変わろうとしている」証拠だと捉えることができるでしょう。就業率の低さを「伸びしろ」として捉え、女性や高齢者の皆様が生き生きと働ける環境を整えることは、経済効果だけでなく、社会全体の活力向上にもつながります。また、ITを活用した生産性向上は、労働時間を短縮し、より付加価値の高い仕事に集中できる「働き方改革」**を同時に実現するチャンスでもあります。
北海道がこの人口減少という逆風を乗り越え、持続的な経済成長を達成するためには、行政や経済界だけでなく、私たち一人ひとりがこの「人手不足」と「生産性向上」の問題に真剣に向き合い、新しい働き方や技術導入に積極的に挑戦していく必要があるでしょう。2019年6月20日に公表されたこの調査結果は、未来の北海道を形作るための重要なスタート地点となるのではないでしょうか。
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