🔥関西演劇界の「今」を知る!気鋭7劇団が神戸KAVCで旗揚げ、全国へ羽ばたく熱い挑戦!【匿名劇壇ほか注目劇団を徹底解説】

神戸アートビレッジセンター(KAVC、神戸市)では、2019年6月より、関西で今まさに注目を集める気鋭の劇団を集めた画期的な企画「KAVC FLAG COMPANY」が開催されています。この企画は、若手から中堅へと差し掛かる世代を中心とした7つの劇団が、2020年2月まで同センターの充実した設備を持つ劇場で連続して公演を行うものです。単に上演の場を提供するだけでなく、その実力ある存在を全国に広く知らしめるという、関西演劇界にとって重要な意味を持つ試みだと言えるでしょう。

企画の先陣を切ったのは、匿名劇壇による新作『大暴力』です。2019年6月7日から9日にかけて上演されたこの作品は、1分から数分程度の短い断片的なシーン、およそ30の短編を繋ぎ合わせるという、非常に実験的な構成でした。場面が終わると同時に役者が舞台上で早変わりし、瞬く間に別の役柄を演じ始める奔流のようなスピード感が観客の想像力を掻き立てます。舞台に脱ぎ捨てられていく衣装が、過ぎ去った場面の余韻をほのかに残し、残像となって観客の心に響くのです。声高に何かを主張するのではなく、観客一人ひとりの心の中に「暴力」にまつわる視点が浮かび上がる、約70分間の濃密な時間だったと評されています。

匿名劇壇が得意とする、虚構と現実の境界を曖昧にする「メタフィクション」(劇中劇など、作品世界の中にその作品の制作過程や仕組みを組み込む手法)も駆使された凝った構造が特徴です。一方で、持ち前のユーモアあふれるセンスや、映像、音楽といったポップな要素が観客の緊張を解きほぐし、親しみやすい雰囲気を醸し出しています。今回の公演は、自主公演と比べて予算に余裕があったため、衣装や映像に初めて外部のプロフェッショナルなスタッフを起用することができました。これにより、舞台表現に確かな「厚み」が生まれたのです。主宰で作・演出を手掛ける福谷圭祐氏は、「KAVCの広いステージにも負けない力を持った、今後の活動の土台となる自信作が完成した」と、確かな手応えを感じている様子でした。

今回参加しているのは、匿名劇壇を含め、中心メンバーが30歳前後という世代の7劇団です。彼らの作風やキャリアは多岐にわたります。例えば、マイムやダンスなど複数の表現ジャンルを融合させる「壱劇屋」、軽快なシチュエーションコメディーを得意とする「THE ROB CARLTON」、そして静謐(せいひつ)な会話劇を追求する「プロトテアトル」などが顔を揃えています。舞台芸術プログラム・ディレクターのウォーリー木下氏は、これらの劇団について、「それぞれに強い独自性があり、劇団同士の横のつながりはそこまで強くないにもかかわらず、ひとつの『世代』として魅力的なまとまりに見える」と語っています。「関西の面白い劇団を厳選したと言っても、異論は出ないのではないでしょうか」と、その実力に太鼓判を押しています。

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衰退期にあえて演劇に挑む世代の独自表現

かつて関西演劇ブームを支えた熱気も薄れ、劇場の閉鎖が相次ぐという厳しい状況下で、あえて演劇の世界に身を投じたのがこの世代です。先輩劇団の影響を強く受けることなく、独自の表現にたどり着いた劇団が多いのが特色です。コトリ会議の若旦那家康氏も、「カフェのような劇場ではない場所を使うなど、公演の形態自体も含めて試行錯誤を重ね、独自の表現を確立した劇団が多いのではないか」との見解を示しています。劇場環境が厳しくなる中で、既成概念にとらわれず、自分たちの表現を追求してきた粘り強さが、今の関西演劇の面白さを生んでいると言えるでしょう。

彼らはまだ全国的な知名度こそこれからといった存在ですが、着実に外部からの評価を高めています。ももちの世界で作・演出を務めるピンク地底人3号氏は「劇作家協会新人戯曲賞」を、コトリ会議の山本正典氏は「せんがわ劇場演劇コンクール」の劇作家賞を受賞するなど、すでに高い評価を得ているのです。これらの受賞は、関西発の才能が全国で通用する実力を持っていることの証明と言えるでしょう。今後の上演予定作品からは、各劇団が自主公演では難しかったテーマや演出に果敢に挑戦し、今回のKAVC公演を将来の活動の大きな足がかりにしようという並々ならぬ意気込みが伝わってきます。

例えば、2020年2月に登場予定の「ももちの世界」は、作家自身の経験に基づいた会話劇を得意としていますが、KAVC公演ではこれまでの作風とは全く異なる新たな舞台を制作すると言います。公演が行われる新開地の地域リサーチを行うほか、地域住民の方々も参加できるような、作品と連動した「町歩き」企画なども構想されています。ピンク地底人3号氏は、「社会に開かれた、既存の作品とは違う手法に挑戦したい」と熱意を語っています。これは、劇場という閉じられた空間だけでなく、地域全体を巻き込み、演劇をより広い世界へと接続しようとする意欲的な試みだと評価できるでしょう。劇評とSNSの反響が全国へ、関西演劇の「今」を発信

KAVCは、今回の特設ウェブサイトに、作家や批評家による劇評を掲載する予定です。これにより、外部からの客観的な視点を広く取り入れ、作品に多角的に光を当てることで、実力ある関西の劇団の情報を全国へ、そして演劇ファンへ確実に届けることを目指しています。実際、匿名劇壇の『大暴力』については、東京を拠点に活動する批評家の佐々木敦氏らが劇評を執筆し、その効果はすぐに表れました。佐々木氏は自身のX(旧ツイッター)で観劇後、「初見でしたごめんなさい!と謝りたくなるくらい面白かった」と投稿しており、SNS上でのこの発言は大きな反響を呼び、多くの演劇ファンに関西の劇団への関心を抱かせたのです。

若手劇団の育成は、兵庫県伊丹市のアイホールが7年前から上演機会を提供する「break a leg」を展開しているほか、大阪市の応典院やウイングフィールドといった民間の小劇場でも演劇祭形式の公演が開催されてきました。今回「KAVC FLAG COMPANY」に参加している7劇団も、その多くがこうした育成企画の中で成長を遂げてきたのです。ウォーリー木下氏が語るように、「関西のFLAG(旗印)として」全国にその実力が届く、大きな飛躍がこの公演から期待されるでしょう。私は、既存の演劇の枠組みにとらわれず、新しい表現を貪欲に追求するこの世代こそ、今後の日本演劇界を面白くしていく原動力になると強く感じています。KAVCでの熱い挑戦が、彼らの新たな扉を開くことは間違いないでしょう。

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