ワシントンから飛び込んできた新たなニュースに、世界中のハイテク業界が再び緊張感に包まれています。アメリカ商務省は2019年06月21日、安全保障上の懸念がある外国企業を列挙した「エンティティー・リスト(EL)」に、中国のスーパーコンピューター開発を手掛ける大手企業など5社を追加すると発表しました。これは事実上の禁輸措置であり、対象企業はアメリカ製品の部品や技術を調達することが極めて困難になります。
記憶に新しいのは、2019年05月に通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)が同リストに加えられた件です。今回の措置はそれに続く第2弾とも言える動きであり、トランプ政権が中国のハイテク産業に対する締め付けを、通信分野から計算処理の根幹であるスーパーコンピューター分野へと拡大させたことを意味します。まさに、米中のハイテク覇権争いが新たなフェーズに突入したと言えるでしょう。
標的となった「曙光」と米国の警戒感
今回、2019年06月24日付でリストに加えられることになった中心的な企業は「曙光信息産業(スゴン)」です。同社はスーパーコンピューターの計算性能ランキングで世界上位に食い込む実力派であり、中国政府や国有企業を主要顧客に持っています。ここで専門用語の解説を挟みますが、「スーパーコンピューター(スパコン)」とは、膨大な科学技術計算を高速で行う超高性能なコンピューターのことです。気象予測や創薬だけでなく、軍事シミュレーションや暗号解読など、国家の安全保障に直結する重要なインフラでもあります。
アメリカ側が問題視しているのは、曙光の技術が中国国内での国民監視システムや治安維持、さらには軍事的な用途に転用されている可能性です。特に同社は、アメリカの半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)と合弁事業を展開しており、アメリカの高度な技術が中国の「国家の監視網」構築に利用されることを断ち切る狙いがあると考えられます。これにより、AMDとの合弁継続も不透明な情勢となりました。
SNSでの反響と広がる波紋
この衝撃的なニュースに対し、SNS上では驚きと懸念の声が広がっています。「ファーウェイの次はスパコンか、完全に鉄のカーテンが下りたな」「AMDとの合弁も対象なら、自作PCパーツの価格にも影響が出るのでは?」「中国製造2025を潰すというアメリカの本気を感じる」といった、米中対立の深刻化を危惧する意見や、身近なデジタル製品への影響を心配するユーザーの反応が多く見受けられました。
また、市場関係者の間では「週明けの株価が怖い」「サプライチェーンがズタズタになる」といった悲鳴も上がっています。ハイテク産業は部品の供給網が世界中に複雑に張り巡らされているため、特定の企業への制裁が思わぬ形で他国の企業や経済全体に波及するリスクを、多くの人々が肌で感じ取っているようです。
編集後記:G20大阪サミットに向けた駆け引き
今回の措置で注目すべきは、そのタイミングです。今月末には大阪でG20サミット(主要20カ国・地域首脳会議)が開催され、そこでトランプ大統領と習近平国家主席による米中首脳会談が予定されています。この極めて重要な外交イベントの直前に制裁カードを切ったことは、通商協議での譲歩を迫るための強烈な圧力であることは間違いありません。
私自身、この動きは単なる貿易赤字の解消を目指したものではなく、次世代の技術覇権をどちらが握るかという、より根源的な争いであると感じています。5GやAI、そしてスパコンといった最先端技術は、21世紀の国力を決定づける要素です。アメリカは、中国が掲げる産業育成策「中国製造2025」の進展を何としても食い止めたいのでしょう。大阪での首脳会談が、両国の対立を緩和させるのか、それとも決裂への決定打となるのか、世界中が固唾をのんで見守ることになります。
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