間もなく多くの企業で夏のボーナスが支給される季節となりました。2019年夏は、日本経済新聞社の集計によると、ボーナス支給額が85万815円と前年比でわずかに増加しており、7年連続で前年を上回る結果となっています。しかしながら、その増加率は縮小傾向にあることが示されており、家計の将来に対する意識が高まる今、まとまった金額をどう配分し、賢く使うかが大きな焦点です。特に、同年10月には消費増税が控えているため、この夏のボーナスは増税前の「最後のボーナス」として、その使い道をより計画的に検討する必要があるでしょう。
ファイナンシャルプランナー(FP)の方々への助言を求めたところ、ボーナスの使途割合は、まず「年間貯蓄目標の達成度」に合わせて考えるのが良い、という意見で一致しています。なぜなら、毎月の給与から着実に貯蓄ができている人(貯蓄体質の家計)と、毎月赤字でボーナスに依存している人(赤字家計)では、取り組むべき課題が根本的に異なるためです。この考え方を基に、ご自身の家計状況に合わせた最適なボーナスの活用法を見ていきましょう。
## 貯蓄体質なら「自己投資」で将来の稼ぐ力を養う
日々の月収からコツコツと貯蓄を実践できている「貯蓄体質の家計」にとって、ボーナスは「余剰資金」と捉えることができます。FPの八木陽子氏は、このタイプの家計は、まず2割程度を貯蓄に回し、住宅ローンのボーナス月増額分や特別な支出に充当した上で、あえて「2割ほど自己投資に使ってほしい」と提言しています。貯蓄癖がある方は、必要な支出でさえもためらう傾向が見られるため、語学や資格の取得、健康維持のためのジム通いなど、将来の「稼ぐ力」を培うための支出を積極的に行うべき、という考え方です。これは、単なる消費ではなく、未来の収入増に繋がる未来への投資と言えるでしょう。
## 収支が「とんとん」「赤字」ならまずは「貯蓄」と「家計の見直し」
一方で、毎月の収支がぎりぎりで貯蓄目標が未達成となっている「収支とんとん家計」の方は、貯蓄の割合を多めに設定する必要があります。八木氏は、貯蓄目標を年収の1〜2割に設定し、夏と冬のボーナスの大部分を貯蓄に充てることを推奨しています。さらに、毎月赤字で生活費をボーナスで補填している「赤字家計」は、まず必要な支払いに充てた上で、一刻も早く家計全体を見直す必要がある、と指摘されています。まずは家計を健全化し、ボーナスを生活費の補填で使い切らない体質を目指すことが大切です。
## 突発的な支出に備える「特別支出」の確保が成功のカギ
FPの畠中雅子氏は、貯蓄に回す理想的な割合を2〜4割と提案しており、特に重要なのは「冬のボーナスまでの半年間に発生する特別支出を書き出し、ボーナスから事前に取り分けておくこと」だと強調します。特別支出とは、固定資産税、自動車関連費用、帰省費用といった、月々の家計から捻出すると不足しがちなまとまった金額の支出や、近いうちに買い替えが必要な家電、子どもの合宿費や発表会費など、事前に把握できる大きな出費のことを指します。これらをボーナスから確保しておくことで、月々の貯蓄を切り崩す事態を防ぎ、計画的な資産形成が可能になるでしょう。
## 老後資金への備え!余剰資金は資産運用を検討
「十分な貯蓄がある家庭は、ボーナスの一部を資産運用に回すこと」を推奨するのはFPの高橋忠寛氏です。ボーナスから貯蓄に回す金額の2分の1程度を、投資信託などで運用するという提案です。普段から資産運用を行っている方は別ですが、これを機に運用を始めるなら、資金を積み立て用口座に移し、「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」を活用した投資信託の毎月積み立てが特におすすめされています。つみたてNISAは、少額から始められ、得られた利益が非課税になるという大きなメリットがあります。
高橋氏のおすすめは、世界の株価指数に連動するインデックス型の投資信託です。日本の銀行に預けている貯蓄が多い家計は、資産が円に偏っていることになり、為替変動のリスクを負うことになります。そこで、海外資産を取り入れることでリスク分散を図ることができるのです。八木氏もつみたてNISAを活用した外国株式や外債の投資信託での運用を推奨しており、老後資金2000万円問題が注目される今、資産運用による将来への備えは、もはや避けて通れないテーマと言えるでしょう。
## リスクを避けたいなら「地方銀行」の高金利定期預金も選択肢に
一方で、畠中氏は「リスク資産に抵抗がある人は無理に運用を始める必要はない」としています。資産運用に消極的な方や、リスクを極力避けたい方には、地方銀行のネット支店が提供する、大手行より金利が高い定期預金が選択肢の一つです。例えば、香川銀行のセルフうどん支店では、100万円まで年利0.27%の特別金利定期預金が提供されており(2019年6月時点)、愛媛銀行やトマト銀行などでも同水準の定期預金があります。また、もう少しリスクを取れるならば、地方自治体が発行する債券なども検討に値するでしょう。
## SNSでの反響と専門家が口を揃える「駆け込み購入」への警鐘
この夏のボーナスの使い道については、SNS上でも「老後資金への不安から、今年は貯蓄・投資を増やす」「増税前に何か買っておくべきか迷う」といった、将来を見据えた意見や迷いの声が多く見受けられます。しかし、増税前の駆け込み購入について、3人の専門家は「NG」と強く警告しています。特に家電や自動車といった高額商品については、過去の消費増税後に大幅な値引きが行われたケースが目立っているためです。もし買い替えを検討している高額商品があるなら、あえて増税後の2019年冬のボーナスでの購入を視野に入れる方が賢明な判断となる可能性が高いでしょう。
私自身の意見としても、この夏のボーナスは、目先の消費ではなく、将来の不安を解消するための「自己投資」や「資産形成」に重点を置くことが、現在の社会情勢においては最善の選択だと考えます。老後資金2000万円問題は、すべての人にとって対岸の火事ではありません。目の前のボーナスを計画的に活用し、語学力の向上やスキルアップ、あるいは低リスクからの資産運用など、ご自身の未来を豊かにするための賢い一歩を踏み出すことを強く推奨いたします。
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