2019年6月、世界中の金融市場では、リスクの高い金融商品へと資金が堰を切ったように流れ込む、熱狂的な動きが観測されております。特に、米国の株式市場ではニューヨーク(NY)株が一時的に史上最高値を更新するなど、一見すると景気の良い状況が続いていますが、この「株高」の背景には、中央銀行による金融緩和で市場に溢れた潤沢なマネーの存在があるのです。金余りの状態が、投資家をより高い利回りを求めて、ハイリスクな領域へと向かわせているといえるでしょう。
こうした状況を象徴するのが、米国の低格付け債、いわゆるハイイールド債に投資する**上場投資信託(ETF)**の急伸です。ハイイールド債とは、格付け会社による信用格付けが低い、つまり債務不履行(デフォルト)のリスクが高いと判断された企業が発行する債券のことを指します。その分、高い利回り(リターン)が期待できるため、リスク選好度(リスクを積極的に取る姿勢)が高まった投資家の間で人気が集まっているのです。資産運用で世界最大手とされるブラックロックが運用するハイイールド債ETFは、6月20日に約1年5カ月ぶりの高値を記録しました。本来、米国では社債発行企業のデフォルトが増える傾向にあるにもかかわらず、投資家はそれ以上に利下げへの期待感を強く抱いています。みずほ証券のチーフクレジットストラテジストである大橋英敏氏も「米国の利下げによって企業のデフォルト比率が上昇するような事態にはならないとみる投資家が増えた」と指摘しており、市場の楽観的な見方が現在の動きを後押ししているといえるでしょう。
このハイリスク資産への熱狂は、暗号資産(仮想通貨)の分野にも波及しています。代表的な暗号資産である**ビットコイン(BTC)**は、急激な上昇を見せており、情報サイトのコインデスクによれば、6月21日には一時1ビットコイン=9,700ドル台を記録し、約1年1カ月ぶりの高値圏に突入しました。価格の節目となる1万ドルも視野に入ってきています。ビットコインのような暗号資産は、価格変動(ボラティリティ)が非常に大きく、まさにハイリスク・ハイリターンの典型です。この過熱ぶりは、リスク許容度が高まっている投資家層の厚みを示しているといって間違いないでしょう。
SNSで飛び交う「期待」と「懸念」の声
こうした金融市場の動きは、SNS上でも大きな反響を呼んでいます。特にビットコインの急騰に対しては、「いよいよバブル再来か」「再び『億り人』を目指せるチャンスが来た」といった、熱狂的な期待感を示す声が多く見受けられます。一方で、「利下げ期待だけでハイイールド債に飛びつくのは危険ではないか」「リスク資産全般が過熱気味で、調整局面に入れば一気に冷え込む可能性がある」といった冷静な懸念を示す投稿も目立ってきています。このSNS上の熱気と冷静さの混在は、現在の市場の危ういバランスを象徴しているといえるでしょう。
編集者としての見解:この「緩和マネー相場」の先に何が待つのか
私見ではございますが、現在世界的に見られる金融市場の状況は、まさに**「カネ余り」が主導する相場**であり、実体経済の堅調さというよりは、中央銀行の政策、特に米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待という「ドーピング」によって支えられている側面が大きいと考えられます。たしかに、低金利環境は企業にとって資金調達を容易にし、経済を下支えする効果を持ちますが、その一方で、本来であれば見送られるはずの高いリスクを伴う投資にまで資金が流入し、過剰なバブルを生み出す温床ともなりかねません。
ビットコインやハイイールド債といった高リスク資産への資金流入は、市場のリスクオン(積極的なリスク志向)を明確に示していますが、一度FRBのスタンスが変化したり、あるいは利下げによるデフォルト抑制効果が期待を下回ったりすれば、市場のムードは一変する可能性を秘めています。投資家の皆様におかれましては、現在の相場が持つ「危うさ」を十分に認識し、過熱感に流されることなく、リスク管理を徹底した慎重な投資判断を下されることが重要であると強く申し上げたいと思います。
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