🔥激動の世界情勢を映す鏡!G20大阪サミットで主役に躍り出た「二国間外交」の真髄を探る

2019年6月28日から29日にかけて、主要20カ国・地域首脳会議、通称G20サミットが初めて日本、大阪で開催されます。このG20は、2008年11月のリーマン・ショックをきっかけに、日米欧の先進国と、中国、インド、ブラジル、サウジアラビアなどの新興国が協調して世界経済の危機に対処するために発足した枠組みです。参加国の国内総生産(GDP)は世界の8割以上を占めており、当初はその多国間での経済政策の足並みを揃えることが重要視されてきました。

発足の地であるアメリカのワシントンで開かれた第1回サミットでは、金融危機への対処で各国が協調し、首脳宣言には「保護主義を拒否し、内向きにならないことが決定的に重要」という、世界経済の自由で開放的な体制を守るという強い意思が盛り込まれた経緯があります。その後も、財政再建やユーロ危機など、世界が共通して抱える課題に対して多国間で力を合わせる姿勢を示してきたのです。このサミットは、世界経済の安定に不可欠な国際協調の象徴的な場だったといえるでしょう。

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世界情勢の変化がG20の役割を劇的に変えた

しかし、発足から10年余りを経て、G20サミットを取り巻く雰囲気は一変しました。ロシアによるウクライナ領クリミア半島の武力併合、イギリスのEU離脱、そして何よりも米中の貿易戦争の激化といった出来事を通じて、参加国全体で危機を乗り越えようという協調的な姿勢は後退し、特定の国への非難が目立つようになっているのです。その象徴が、2018年のアルゼンチンでのG20サミットでした。サミット発足後、初めて首脳宣言から「保護主義と闘う」という、それまでのG20の「お約束」ともいえる文言が削除されたのです。

大阪G20サミットの前哨戦として2019年6月8日と9日に開かれた貿易・デジタル経済相会合でも、反保護主義の文言を盛り込みたい欧州勢と、それを嫌がるアメリカとの間で意見が激しく対立しました。議長国である日本が懸命に調整したものの、閣僚声明には結局、反保護主義の文言は入らなかったのです。日本政府の関係者も、「この流れでは、今年の首脳宣言で『反保護主義』を盛り込むのは非常に難しい」と話しており、多国間の枠組みで共通のメッセージを発信することの難しさが浮き彫りになっています。

このような状況のなか、G20サミットの真の主役として注目を集めているのが、サミットの機会を利用して行われる二国間外交です。もはや多国間での協調を示す場というよりも、世界経済や安全保障の主要プレーヤーが一堂に会する「場所」を提供する役割が大きくなっているといえるでしょう。特に、トランプアメリカ大統領が中国の習近平国家主席と2019年6月18日に電話会談を行い、G20での日米首脳会談開催に合意したことは、最も大きな関心事となっています。さらに、ロシアのプーチン大統領との会談の可能性もあり、世界の視線は、会議そのものよりもこれらの個別会談に注がれているのです。

安倍晋三首相は、サミットの主要な目玉としてデジタル経済と世界貿易機関(WTO)改革を掲げ、「大阪トラック」と名付けて、ルールの下で自由にデータをやり取りする仕組みづくりを首脳宣言に盛り込みたい考えです。しかし、外務省幹部も「具体的な中身に入れば入るほど、調整は難しくなる」と述べており、G20後の国際的なルールづくりを首脳宣言がどれだけ後押しできるかは、不透明な状況と言えるでしょう。この困難な状況だからこそ、議長国として日本がどれだけ調整力を発揮できるかに、世界の期待が集まっています。

インターネット上のSNSでは、このG20の役割の変化について「もはや『多国間協調』は形骸化しているのではないか」「米中首脳会談のための舞台装置になりつつある」といった厳しい意見が多く見受けられます。一方で、「それでもトップ同士が顔を合わせる場があること自体に価値がある」「国際会議でしかできない裏側での外交交渉に期待したい」という現実的な見方もあるようです。また、国と国との関係が冷え込む中で、今回欠席を表明したメキシコのロペスオブラドール大統領のようなケースや、元徴用工訴訟を巡って紛争が続く韓国の文在寅大統領と安倍首相が会場でどのように顔を合わせるのかといった、国際会議ならではの外交的駆け引きにも大きな注目が集まっています。

私見ですが、多国間の枠組みが試練に立たされている今だからこそ、G20は単なる経済会議ではなく、対立する大国間の「対話の窓口」として、その存在意義が高まっていると考えるべきでしょう。世界経済の不安定要素が山積するなか、G20という枠組み自体を維持し、首脳同士が率直に意見を交わせる環境を提供すること。これこそが、2019年6月28日と29日に開催される大阪G20サミットにおける、議長国・日本に求められる重要な役割になるのではないでしょうか。

なお、20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は毎年1回、参加国が持ち回りで主催する首脳級の会議で、今年は大阪湾の人工島・咲洲(さきしま)にある国際展示場「インテックス大阪」で開催されます。参加国以外にも、招待国としてチリやシンガポールなどの首脳級が来日するほか、国連や世界銀行、世界貿易機関(WTO)など国際機関のトップも集結する予定です。日本が想定する主な議題は、世界経済・貿易問題、デジタル経済などのイノベーション、格差への対処、そして気候変動問題となっており、2日間の討議の後には首脳宣言が発表され、安倍首相による記者会見が予定されていることになります。

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