老舗インナーウェアメーカーのワコールホールディングス(HD)が、2019年6月21日に、2022年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画を公開しました。この計画の最大の目玉は、これまでのビジネスモデルを大きく変える「次世代型サービス」を導入し、新たな顧客層、特に若い女性の獲得を目指すという、意欲的なものです。具体的には、最新の技術を駆使した体験型店舗を強化する方針を打ち出しています。
この中期経営計画では、数値目標も大変な注目を集めています。具体的には、連結売上高を2019年3月期と比べて8%増の2,100億円に引き上げることを目指しています。さらに驚くべきは、営業利益の目標で、なんと同時期比で2.9倍となる140億円を達成するというのです。この大幅な増益目標は、同社が推進する事業構造改革への強い自信の表れであると言えるでしょう。
計画の要となるのが、新サービス「3D smart & try」です。これは、専用の3Dボディースキャナーを用いて、バストを含む身体の約150万カ所をわずか5秒で精密に計測するという画期的な技術です。計測データは即座にAI(人工知能)によって分析され、お客様一人ひとりに最適な商品を提案するという仕組みになっています。この「体験型」サービスによって、これまで接点が少なかった若い世代の購買層を効果的に開拓できると見込んでいます。
安原弘展社長は、「計測されたデータを活用して、新しい商品開発やサービスの改善にも活かしていく」と述べており、単に商品を売るだけでなく、得られたビッグデータを経営資産として活用し、イノベーションのサイクルを生み出すことを明確に示しています。このデジタル技術を核とした戦略は、長年培ってきたワコールの「採寸」に関する知見と、最新テクノロジーの融合であり、インナーウェア業界における新たなスタンダードを確立する可能性を秘めていると感じます。
この大胆な発表に対し、SNS上では「ワコールがこんなにハイテクになるとは驚き!」「AIフィッティングなら気兼ねなく試せる」「3D採寸で本当に自分に合うブラが見つかりそう」といった肯定的な意見や期待の声が多く見受けられました。特に、人の手による採寸に抵抗があったり、面倒だと感じていたりした層からの反響が大きいようです。
一方、同社は従来の事業構造の見直しにも着手します。百貨店や量販店への卸売事業において、非効率な部分を徹底的に改善していく方針です。具体的には、取り扱う商品群を約2割削減し、長年の商慣習や取引条件も改めることで、サプライチェーン全体を最適化する狙いがあります。また、子会社であるピーチ・ジョンなど、グループ内の不採算事業も見直しの対象に含まれています。
この中期計画のさらに先を見据え、ワコールHDは2028年3月期までに、売上高を最大で2,700億円まで拡大し、売上高営業利益率を10%超にすることを目指すという、長期的な目標も同時に公表しました。売上高営業利益率とは、売上高に対して営業利益が占める割合を示すもので、企業の収益性を測る重要な指標です。この10%超という目標は、アパレル・小売業界においては非常に高い水準であり、同社が単なる衣料品メーカーから、データを活用したサービス企業へと大きく変貌を遂げようとしていることを強く印象付けます。
コメント