二〇一九年五月二十八日、製造業の品質を陰で支える「縁の下の力持ち」から、未来への力強い投資が発表されました。様々な自然環境を人工的に再現する「環境試験装置」で、世界シェア三割、国内シェア六割という圧倒的なトップ企業、エスペック。その彼らが、「CASE」の波に揺れる自動車業界を見据え、検査事業を次の成長戦略の柱に据えたのです。
「CASE(ケース)」とは、コネクテッド(Connected)、自動運転(Autonomous)、シェアリング(Shared)、電動化(Electric)の頭文字です。まさに自動車が「走るコンピューター」へと変貌するこの大革命時代、電子部品の信頼性要求は、家電製品(マイナス十度~六十度程度)とは比較にならないほど過酷になっています。時にはマイナス五十五度から百五十度という極限環境下での動作保証が求められるのです。
この高まる需要に応えるため、エスペックは三億五千万円を投じ、二〇一九年中に愛知県豊田市の「豊田試験場」の体制を劇的に強化します。ここはまさに、トヨタ自動車のお膝元です。狙いは、自動車業界で世界標準とも言われる「ドイツの自動車業界規格」が定める、全二十七項目もの過酷な試験を、この一拠点で全て受託できる「ワンストップ体制」を構築することです。
これまでは全項目の半分しか対応できず、外部機関との連携で時間がかかっていた試験時間を、理論上「半減」できるというのですから、これは革命的です。この報に、SNS(特に技術系)では「さすがエスペック、目の付けどころが良い」「CASE対応は試験がキモ。ドイツ規格を日本でワンストップは強すぎる」といった、その着眼点を評価する声が上がっています。
私自身、このエスペックの戦略は、単なる「試験受託ビジネス」の強化ではないと捉えています。トヨタに部品を供給する多くのサプライヤーがひしめく愛知県で、開発の「スピード」という最大の武器を提供すること。これこそが、世界シェアNo.1企業が果たすべき、日本の自動車産業全体を底上げする「インフラ整備」という使命ではないでしょうか。同社が車載向け売上高を五割超に引き上げようとする目標は、日本のCASE革命の成功と、まさに一蓮托生(いちれんたくしょう)なのです。
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