2019年6月24日、世間を騒がせた一報が飛び込んできました。窃盗罪などでの実刑判決が確定し、横浜地方検察庁(横浜地検)に身柄を収容される直前に逃走した小林誠容疑者(43)が、神奈川県警などの捜査によって、丸4日近くの逃亡を経て横須賀市内で逮捕されたのです。逮捕容疑は公務執行妨害。これは、警察官や検察事務官などの公務員が職務を執行する際に、暴行や脅迫などで職務の遂行を妨げる行為に適用される罪名で、社会の秩序を守る上で極めて重い罪とされています。
この事件は、横浜地検が収容状(刑務所や拘置所に収容するための令状)を持って、2019年6月19日午後1時すぎに小林容疑者の自宅アパートを訪れた際に発生しました。その際、小林容疑者は検察事務官らに対し、包丁を振り回すなどして公務を妨害した疑いが持たれています。地検の調べに対し、小林容疑者は当時包丁を持っていたことは認めているようですが、捜査関係者によりますと、逃走時に包丁を捨てたとも供述しているとのことです。
小林容疑者は、この一件で自宅アパートから車で逃走を図りました。車は同日夜、同県厚木市内で発見されています。その後は知人らの車に乗り換え、逃走を続けていたものとみられています。逃走のきっかけは、自宅から覚醒剤(中枢神経を刺激する違法薬物で、使用・所持などが法律で厳しく罰せられます)を使うのに用いたとみられる注射器が、地検の家宅捜索で発見されたため、その使用発覚を免れようとした疑いが濃厚です。自ら罪を重くする行為であり、非常に愚かな選択と言わざるを得ません。
捜査当局による懸命な追跡が続くなか、小林容疑者は2019年6月21日、「22日に出頭する」とみられる人物を通じて連絡を入れましたが、実際には出頭しませんでした。捜査は難航しましたが、突破口となったのは、小林容疑者が23日未明に公衆電話から知人に連絡を取った事実です。捜査員が現場の公衆電話の受話器から指紋を採取したところ、それが小林容疑者のものと一致。この公衆電話からわずか約300メートル離れた横須賀市森崎のアパートの一室が潜伏先として急浮上しました。
そして2019年6月23日午前6時40分ごろ、アパートを取り囲んだ警察官の説得に応じ、小林容疑者は部屋から出てきたところを逮捕されました。けが人は出ていません。潜伏していたアパートの住人である自称建築業の幸地大輔容疑者(38)も、小林容疑者をかくまったとして犯人蔵匿容疑(罰則の対象となっている犯罪を犯した者を隠匿したり、逃走させたりする行為に適用される罪名)で現行犯逮捕されています。部屋には他にも複数の女性がいたとの情報もあり、警察は、他に逃走を手助けした人物がいないかなど、事件の全容解明に向けて引き続き捜査を進める方針です。
この逮捕劇に対し、SNSでは大きな反響がありました。「これで一安心です」「よく逮捕してくれました」と警察の迅速な捜査を称賛する声や、「覚醒剤まで関わっていたとは」「逃げ得は許されない」といった批判的な意見が多く見受けられました。約4日間という短い期間とはいえ、市民生活に与える不安は計り知れないものです。今回は、逃走が長期化する前に逮捕に至りましたが、今後、同様の事件を防ぐための再発防止策が求められるでしょう。
逃走犯を追う捜査の舞台裏と今後の課題
今回の小林容疑者の確保には、延べ約7,000人もの捜査員が投入されたとのことです。逃走犯の行方を追う地検や県警の執念が実を結んだ結果と言えるでしょう。特に、公衆電話の受話器に残された指紋という、現代社会において意外と見落とされがちな手がかりが決定打となった点は、捜査の基本の重要性を示すものだと考えられます。しかしながら、一度は出頭の連絡があったにもかかわらず、それが守られなかった事実や、多数の知人による協力(犯人蔵匿容疑での逮捕者含む)があったとみられる点も、今後の捜査の焦点となるでしょう。
法治国家である日本において、犯罪者が法的な手続きを経て確定した刑罰から逃れようとする行為は、法の尊厳を揺るがす行為です。ましてや、公務執行妨害という形で公権力に抵抗し、危険な逃走を続ける行為は断じて許されるべきではありません。今回の事件を教訓に、身柄の収容手続きや、逃走のリスクがある人物への対応について、より一層の厳格化が図られることを強く望みます。
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