🚀変革を加速!横河電機・奈良寿社長が挑む「IoT×保守サービス」で成長を掴む新戦略

制御・計測機器の大手である横河電機は、今、歴史的な変革の真っ只中にいます。長年にわたる主力顧客である国内の石油や化学プラントが新設ラッシュを終え、同社は新たな成長エンジンを模索しています。その活路として、あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT(アイ・オー・ティー)」技術を駆使した、付加価値の高い保守サービスの開拓を急ピッチで進めているのです。2019年4月に社長に就任した奈良寿氏(56歳)は、このサービス分野での豊富な経験を持つリーダーであり、横河電機の未来を築くべく、陣頭指揮を執っています。

奈良社長は「会社が変革していかないと次の成長はない」と強い決意を繰り返し表明してきました。この変革の象徴的な一手となったのが、2013年4月の「横河ソリューションサービス」の設立です。これは、横河電機本体の国内制御機器事業を切り出し、それまで分散していた保守サービスや生産管理システムの子会社と統合するという、大胆な再編でした。この大改革の必要性を最も熱心に訴え、実現へと導いた人物こそ、当時から経営の中枢にいた奈良氏に他なりません。この新会社設立の狙いは、経営資源を集中させ、顧客に対して幅広いサービスを一括で提供できる体制を整えることにありました。

それまでの横河電機は「信頼性のある制御・計測機器を提供することに終始しがちだった」と、奈良氏は指摘しています。しかし、国内のプラント新設が減少していく状況下では、製品の販売だけでなく、サービスでの収益獲得へとビジネスモデルを転換することが不可欠でした。このパラダイムシフトを実現するためには、「事業の課題をお互いに検討し、モノだけでなく価値も提供するように社員のマインドを変革しないといけなかった」と、当時の心境を語ります。

具体的に横河ソリューションサービスが展開しているのが、IoTを活用してプラント制御を高度に支援するサービスです。例えば、熱の加え方や薬品の投入量、そのタイミングといった複雑な制御要素をデータに基づいて算出・最適化するのです。これは、熟練の作業員の高齢化が進み、技術継承が難しくなっているという、製造現場が抱える深刻な課題の解決にも直結します。

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🚀新事業の困難と「現場主義」で掴んだ信頼

自らが設立を提案した横河ソリューションサービスの初代社長に2013年4月に就任した奈良氏でしたが、新事業の船出は決して平坦ではありませんでした。「横河が何をしてくれるのか」「コンサルティング会社ではないでしょう」といった取引先の戸惑いの声に直面し、新会社の事業目的を理解してもらうのに苦労したといいます。時には「一度でいいので取り組ませてください」と、何度も顧客に頼み込んでサービスを提供させてもらうような状況だったそうです。

しかし、徹底的な現場主義を貫く奈良氏は、自ら顧客の現場を足しげく回りました。そこで耳にしたのが「うちの会社の現場力が落ちている」という切実な声です。詳しく調査すると、ある工場の三つの班の間で製品の品質にばらつきが生じていることが判明しました。そこで、いくつかの制御機器のオペレーション改善を提案したところ、実際に品質が向上し、見事に顧客からの信頼を勝ち取ることに成功したのです。このような、顧客の声に真摯に耳を傾け、課題解決に繋げるという新会社のやり方は、社内外に浸透するまで「3年かかった」と振り返っています。

機器だけでなくサービスでも収益を上げるためには「価値連鎖が重要」だと奈良氏は力説します。一度でも顧客に確かな価値を提供できれば、その実績が評価され、別の工場やグループ会社での採用にも繋がるからです。この成長戦略のなかで、特に将来の成長が見込まれているのが、海外の既存プラントの運用改善を支援するサービスでしょう。2017年度に700億円規模だったこの事業を、今後は年7~10パーセント程度成長させるという意欲的な目標を掲げ、実際、2018年度には8.3パーセントの成長を達成しています。2016年に買収したイギリスのコンサルティング会社とも協力し、海外現場の効率的な運営提案をさらに強化していく方針です。

💡未来を見据える「ライフイノベーション事業」への挑戦

奈良社長は、既存事業の強化に留まらず、横河電機の新たな分野への挑戦も牽引してきました。社長就任前の2018年には、ライフイノベーション事業本部長として、新たな事業領域の開拓を担っていたのです。これは「石油プラントなどのエネルギー制御事業に中長期的に依存しないようにする」という、横河電機にとって極めて重要な課題への取り組みです。

具体的には、微細な細胞の観察のための装置や計測器などを手掛け、食品や薬の評価など、横河電機にとってまったく新しい分野で社会に貢献することを目指しています。今後についても「M&A(エム・アンド・エー、企業の合併・買収)や外部企業との提携を積極的に進めたい」と、事業展開への強い意欲を示しています。入社時から、制御・計測機器のビジネスは「産業を支えるのに絶対必要なビジネス」だと感じ、社会貢献を意識してきた奈良社長らしい挑戦だと言えるでしょう。

新入社員時代は専門用語が分からず失敗を繰り返したという苦労人ですが、周りからは「困難な状況でも明るく切り抜けるタイプ」と評されています。奈良社長自身も「トラブルがあっても常に前向きに考えるように意識する」のがモットーだといいます。その根幹にあるのは、やはり徹底的な現場主義です。法学部出身で民法を専攻した大学時代、ゼミの活動で裁判所に出向き、被告人の話を実際に聞いた経験が、「伝聞ではなく、実際に話を聞かなければ」という強い信念を育みました。

社長となった今も、全国各地を回った際には、社員を食事に誘い「何でも話して」と、現場の生の声に耳を傾けることを欠かしません。そうして聞く声の中には、顧客のプラント現場における人手不足の深刻化といった、既存事業と新事業を融合させることで解決できるヒントが次々と含まれていることでしょう。既存の制御技術に、ソリューションサービスやライフイノベーションといった新事業の柱を加えた横河電機の挑戦が、一段の成長を達成できるか、奈良社長の手腕から目が離せません。

🏌️‍♂️【SNSの反響と編集者の見解】変革期のリーダーシップ

(編集者の見解)今回の横河電機の事業変革は、日本を代表するBtoB(企業間取引)企業が直面する構造的な課題への、模範的な挑戦だと評価できるでしょう。国内のインフラ新設需要の減少という不可避な状況に対し、従来の「モノ売り」から「サービス・価値提供」へと舵を切る戦略は、まさに時流に合った判断です。特に、IoT技術を活用して顧客の現場課題を解決するソリューション事業は、人手不足や技術継承の難しさという社会課題の解決にも貢献する、サステナブルなビジネスモデルだと考えます。

SNS上では、「横河電機のような老舗企業が、これほど大胆な変革を進めていることに驚いた」「IoTで現場のオペレーション改善までするとは、制御技術の応用力がすごい」といった声が見られます。また、「奈良社長の現場主義のエピソードに共感した。トップが現場の信頼を勝ち取ることが、改革の成功に不可欠だ」という意見も多く、新リーダーへの期待の高さが伺えます。法学部出身でありながら制御の現場で苦労し、最終的にトップに立ったというキャリアも、多くのビジネスパーソンの関心を惹きつけているようです。

🍶奈良社長の素顔:ゴルフと散歩を愛し、酒の幅を広げる

奈良社長は、1985年(昭和60年)に立教大学法学部を卒業し、横河北辰電機(現横河電機)に入社されました。秋田県のご出身です。若かりし頃は、横河電機が社会人ラグビーの古豪であったことから、幼少期に親しんだラグビーを通じて同社を知っていたそうです。現在の休日の過ごし方は、ゴルフと散歩が中心とのこと。散歩は主に都内を歩き、特に世田谷区にある都心の緑豊かな等々力渓谷周辺がお気に入りの場所だと話しています。

また、社員とコミュニケーションをとる場でもあるお酒をこよなく愛しており、焼酎とビールが好みだそうです。さらに「最近は日本酒のおいしさにも目覚めた」と、その幅を広げているようです。シンガポールやタイの現地法人社長を経て、2019年4月に現職に就いた奈良社長。私生活の充実ぶりが、変革期にある企業のリーダーとしての明るさと前向きさを支えているのでしょう。

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