働く人々の健康を守り、企業の生産性向上を支えるヘルスケアテック分野で、大きな注目を集めるニュースが飛び込んできました。企業向けクラウドサービス「Carely(ケアリー)」を提供するiCARE(アイケア)社(東京都渋谷区)は、2019年6月24日までに、グローバル・ブレインを含む6社のベンチャーキャピタル(VC)を引受先とする第三者割当増資により、総額5億2000万円という巨額の資金調達を実施したのです。この資金は、サービスの開発強化や、体制を支える人員の増強、そして市場での認知度を高めるためのマーケティング活動に充当される計画です。
iCAREは、医師である山田洋太・最高経営責任者(CEO)によって2011年に設立されました。同社が2016年3月から本格的に展開している「Carely」は、従業員の健康管理にまつわる企業側の労務を効率化するためのクラウドサービスです。具体的には、法律で義務付けられている健康診断やストレスチェックといった健康関連の情報を一元的に管理し、企業の担当者の手間や負担を大幅に削減する機能が搭載されています。これにより、これまで煩雑になりがちだった人事業務をスマートに処理できるようになるでしょう。
特に「Carely」の画期的な点は、蓄積された従業員の健康データに基づいて、産業医との面談が必要な候補者をシステムが自動的に判定してくれる機能です。この自動判定機能は、企業の健康管理において重要な役割を果たす産業医(企業内で労働者の健康管理を行う医師)の業務をサポートし、早期の健康リスク発見に繋がります。さらに、保健師などの専門家がオンラインチャットを通じて、従業員からの健康相談に対応する機能も備わっているため、働く人々が気軽に健康に関する悩みを打ち明けられる体制を整えています。
今回の大型調達によって、iCAREは特に開発を担う技術者と、顧客のサービス活用と成功を支援するカスタマーサクセスの人員を重点的に増員する方針です。カスタマーサクセスとは、顧客がサービスを最大限に活用し、その結果として企業や事業の成功を実現できるよう伴走・支援する役割を指します。サービスの質を向上させる技術力と、顧客満足度を高めるサポート体制の両面を強化することで、「Carely」の価値をさらに高めていくことができるでしょう。
また、ウェブ広告やイベント出展といったマーケティング活動にも積極的に投資を行い、より多くの企業に「Carely」の利便性を伝えていく予定です。さらに、従業員の健康状態をリアルタイムで一目で確認できる「ダッシュボード機能」の追加も間近に控えています。この機能によって、企業はより戦略的に従業員の健康管理、すなわち「健康経営」(従業員の健康を重要な経営資源と捉え、投資することで企業価値向上を目指す経営手法)を推進できるようになるはずです。
私見ですが、iCAREの「Carely」は、単なる労務管理ツールに留まらず、企業の「健康経営」をITの力で実現するプラットフォームへと進化しようとしています。医師が創業したという背景は、働く人々の健康への深い理解と、現場のニーズを的確に捉えたサービス設計に繋がっていると考えられます。企業の健康管理は、コンプライアンス遵守だけでなく、優秀な人材の定着や生産性の向上に直結する重要な要素です。この度調達した資金を糧に、iCAREが日本の「健康経営」のあり方を大きく変革してくれることに、期待せずにはいられません。
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