2019年6月26日までに、東京国税局は、国税局OBの税理士から現金を授受したとして、税務署長経験者を含む職員4名を戒告の懲戒処分としたと公表しました。この事態は、税務行政に対する信頼を揺るがすものとして、大きな波紋を広げていると言えるでしょう。処分を受けたのは、同局管内の税務署で署長や副署長を務めていたベテラン職員たちで、公務員倫理の観点から問題視されています。
彼らが受け取ったとされる金銭は、確定申告の時期における「陣中見舞い」という名目でした。税理士から税務署内で直接手渡され、その金額は1人あたり2万円から6万円、4人の合計で12万円にのぼります。確定申告は、納税者が自らの所得や税額を計算し、税務署に申告する重要な手続きであり、税務署職員にとっては非常に多忙な時期です。しかし、どれほど多忙であっても、職務と利害関係のある税理士からの金銭授受は、決して容認される行為ではありません。
OB税理士との関係と公務員倫理
この事案の背景には、国税局OB、つまり元職員である税理士との特別な関係性があります。税理士の業務は、納税者の代理として税務署とやり取りを行うことが多く、現職の職員とは常に利害関係が生じる立場です。このような状況下で、OB税理士が現職の職員に対して金銭を贈る行為は、職務の公正性を疑わせるに十分な状況でしょう。「陣中見舞い」という慣習的な表現が用いられていますが、実質的には、職務に対する見返りや、今後の円滑な関係を期待しての贈与と見なされても仕方ありません。
公務員には、国家公務員倫理法や国家公務員倫理規程により、国民の信頼を損なうような行為が厳しく禁じられています。特に、利害関係者からの金銭や物品の受領は、その職務の公平性を保つ上で絶対的に避けなければなりません。今回の「戒告」という処分は、懲戒処分の中で最も軽いものですが、税務行政のトップに近い立場の職員がこのような処分を受けた事実は、組織全体の綱紀の緩みを強く示唆しているのではないでしょうか。
SNSでの反響と行政の信頼回復
この報道が流れると、インターネット上のSNSでは、「確定申告の陣中見舞いなんて聞いたことがない」「やはり水面下ではこういうやり取りがあるのか」といった、税務行政に対する厳しい意見や失望の声が多く見受けられました。国民の多くは、税金という重要な公金を扱う税務署には、最高レベルの清廉潔白さを求めています。そのため、今回の不祥事は、日頃から真面目に納税している国民感情を逆撫でする結果となってしまったと言えるでしょう。
国税当局としては、このような事態を重く受け止め、再発防止に向けた徹底した対策が急務です。OB・現役職員を問わず、税理士との関係における倫理規範を改めて周知徹底し、職員一人ひとりの高い倫理意識を確立することが求められます。税務行政への信頼を回復するためには、透明性の高い組織運営と、不正行為には厳正に対処するという毅然とした姿勢を継続して示していくことが必要不可欠でしょう。