東南アジアの熱気を感じるタイの首都バンコクから、旅好きにはたまらないビッグニュースが飛び込んできました。普段は車が激しく行き交う大通りが、約4年ぶりに歩行者天国として開放されたのです。SNS上でも「これぞタイの活気」「またあの屋台巡りができるなんて最高」と、お祭り騒ぎのような歓喜の声が広がっています。近年は急速な都市化の影響によって、街を彩る屋台が減少傾向にありました。だからこそ、伝統的な雰囲気を肌で感じられるこのイベントは、多くの旅行者を魅了しているのでしょう。
イベントがスタートした2019年12月22日の日曜日、ビジネス街として知られるシーロム地区は驚くべき変貌を遂げました。車道には、タイ風のジューシーな焼き鳥や香ばしい麺類の屋台が所狭しと並び、特設ステージからは伝統舞踊の美しい音色が響き渡っています。香港から訪れた観光客も、南国フルーツを味わいながら笑顔を見せてくれました。この歩行者天国は、バックパッカーの聖地と呼ばれるカオサン通りや中華街でも週末限定で開催され、2020年5月まで続く見込みです。
世界的な逆風をはね返す!地域経済を救うタイの底力
実は、このタイミングでイベントが復活した背景には、タイが直面するシビアな経済事情が存在します。現在、米中貿易戦争による景気減速で、観光客の約3割を占める中国人の消費行動が慎重になっているのです。さらに、通貨バーツの価値が他国に対して高くなる「バーツ高(他国通貨に対してバーツの価値が上がり、外国人にとって旅行費用が割高になる現象)」が約6年ぶりの水準で推移しており、タイ旅行の割高感が強まっています。こうした逆風をはね返すため、都庁が地域活性化の特効薬として舵を切りました。
2019年の外国人訪問者数は4000万人弱と堅調ですが、中小業者が潤う観光収入の目標には届いていないのが現状です。現地で焼き鳥屋台を営む店主も、人通りが減る日曜日の救世主だと今回の施策を歓迎しています。私は、こうした一般の市民や個人経営の屋台に直接お金が回る仕組みこそが、観光立国タイの持続可能な発展に不可欠だと考えます。きらびやかな高級ホテルや近代的なモールだけでなく、人々の生活の手触りが残る場所にこそ、旅の本質的な価値があるのではないでしょうか。
都市化か伝統か?バンコクが模索する未来への試金石
しかし、バンコクの屋台文化は今、大きな岐路に立たされています。都庁は交通渋滞の緩和や衛生面の改善を理由に規制を強めており、2013年に約2万軒あった登録屋台は、2018年には8500軒へと激減しました。歩道を占拠する問題への対策は理解できますが、屋台を単なる「邪魔なもの」として排除するのはあまりにも惜しいと感じます。屋台はタイの大切な食文化であり、世界中の人々を惹きつける唯一無二の観光資源だからです。[/p>
今回4年ぶりに復活した歩行者天国は、都市の近代化と昔ながらのローカルな魅力が、どのように共存していけるかを探る重要なテストケースとなるでしょう。歩道が狭くて歩きにくいと不評だった中華街も、このイベントによって開放感あふれる空間へと生まれ変わっています。利便性を追い求めるだけでなく、タイが持つ本来のエネルギーを活かした新しい観光の形が、ここから世界へ発信されることを期待してやみません。
コメント