【投資ファンド2020】10年ぶりの資金減少へ!ユニコーン失速と割高感で変化する世界マネーの行方

世界中で拡大を続けてきた投資ファンドの勢いに、明らかな変化の兆しが見えてきました。これまで右肩上がりだった資金調達の規模が、2019年には10年ぶりとなる減少へと転じたのです。背景にあるのは、世界的な金余りによる投資案件の価格高騰や、急成長を遂げる未上場企業である「ユニコーン企業」への過剰な期待感の冷え込みです。お金の出し手とファンドの双方が慎重な姿勢を強めている状況が伺えます。

イギリスの調査会社であるプレキン社がまとめたデータによると、2019年の新規資金調達額は9570億ドル(約104兆円)を記録しました。これは過去最高を更新し続けていた2018年の1兆120億ドルから5%のマイナスとなります。SNS上でも「ついにバブルの調整局面が来たか」「投資先が見つからないのは深刻な問題だ」といった、市場の転換期を察知する声が数多く飛び交っており、今後の動向へ関心が集まっています。

今回の調査対象となった「未公開ファンド」とは、主に株式市場に上場していない企業や不動産などを投資対象とする仕組みのことです。主な資金の出し手は、長期的な運用を目指す年金基金や保険会社といった機関投資家たちになります。近年は魅力的な投資先に対してあまりにも多くのマネーが群がった結果、買収価格が実態以上に跳ね上がる事態が頻発しており、市場には強い警戒感が漂い始めました。

実際に、企業の買収金額が妥当かどうかを測る指標にも過熱感が現れています。利益(EBITDA:利払い・税引き・償却前利益。純利益に金利や税金、減価償却費を足し戻した、企業本来の稼ぐ力を示す数値)に対して買収額が何倍であるかを示す数値は、2019年に14.6倍に達しました。これは投資した資金を回収するまでに15年近くを要することを意味しており、ファンド側にとっても極めて利回りの確保が難しい水準です。

出資者から集めたものの、投資先が決まっていない「待機資金」は、2019年06月時点で約2兆4千億ドル(約260兆円)という巨額の規模に膨れ上がっています。特にベンチャーキャピタル(VC)の調達額は11%も減少しました。アメリカや中国では、実態を伴わないまま評価額だけが高騰したスタートアップ企業への懸念が強まっており、投資家たちが手元に現金を残したまま様子見を続けている様子が浮き彫りとなっています。

さらに、中堅企業などに高利で融資を行う「プライベート・デット(銀行に代わってファンドが直接企業にお金を貸し出す仕組み)」の調達額も15%減少しました。現在は競合が激しくなったことで、借り手の財務健全性を守るための「財務制限条項(一定の自己資本や現金を維持させる契約)」を緩める動きまで出ています。これは景気が悪化した際に大きな損失を被るリスクをはらんでおり、投資家が警戒するのも無理はありません。

これからは、過去の実績がある大手の優良ファンドへ資金が集中する「二極化」が一段と進むでしょう。リーマン・ショック前のような過度な借り入れ(LBO)による破綻の教訓を活かし、市場はより健全な評価へと是正されていくはずです。企業側にとっては資金集めのハードルが上がりますが、これこそがバブル崩壊を防ぐために必要な自浄作用であり、真の成長力を持つ企業が生き残る好機になると私は考えます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました