【インドEV市場】三井物産が仕掛ける電動バイク革命!2020年末にモーター現地生産へ、SNSでも話題沸騰の理由とは?

環境意識の高まりとともに、世界中で次世代の乗り物として注目を浴びているのがEV(電動車両)です。こうした中、総合商社の三井物産がインドでの新たな挑戦を発表しました。台湾の電機大手である東元電機(TECO)とタッグを組み、産業用と電動バイク向けのモーターを現地で生産する体制を整えます。日本企業がインドの地でEV用モーターの製造に乗り出すのは、今回が初めての試みになる見込みです。

出資比率は東元電機が60%、三井物産が40%となっており、共同で合弁会社を立ち上げます。南部の都市バンガロールに約5500平方メートルの工場を建設する予定で、投資総額は約15億円にのぼる見込みです。2020年12月からの稼働を目指しており、2交代制の勤務シフトを組むことで、年間およそ11万台ものモーターを生み出す強力な生産能力を確保する計画が立てられています。

インターネット上では、この大胆な戦略に対して「インドの二輪市場の規模を考えれば、非常に賢い一手だ」「大手商社がモーター生産にまで踏み込むのは興味深い」といった前向きな反響が相次いでいます。ガソリン車から電動への移行が急速に進む可能性を秘めた巨大市場だけに、日本のビジネスパーソンやテクノロジーファンの間でも、今後の進展を期待する声が日増しに大きくなっている印象を受けます。

製造の内訳は、EV用が6万台、工場などの設備に使われる産業用が5万台を予定しています。産業用モーターは手作業による組み立てや検査が多くを占めるため、労働コストを低く抑えられるインドでの生産は大きな強みになるでしょう。一方で、EV用モーターは作業の自動化が可能なため、将来的に販売個数が増加した段階で、自動化ラインを本格的に導入する視野も入れています。

市場の開拓にあたっては、三井物産が持つグローバルな営業ネットワークをフルに活用します。スイスのABBやドイツのシーメンスといった世界的な競合企業、さらには現地の有力メーカーと競い合う形になります。具体的なターゲットとしては、現地に進出している日系の二輪・四輪メーカーのほか、勢いのあるインドのスタートアップ企業へ積極的に売り込みを図る考えです。

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急成長するインドの電動バイク市場へ標準を絞る理由

今回のプロジェクトがまず照準を合わせているのが、インドで広く普及している電動バイクの領域です。一般的な電動バイクには3キロワットから35キロワットの出力を持つモーターが使われます。今回の提携では、その中でも20キロワットから30キロワットという高出力なハイエンド層、つまりガソリン車でいう125ccクラスの排気量に匹敵する、力強い走りを実現するモーターの供給に力を入れていきます。

さらに、その先には公共交通を支える電動バス市場の獲得も見据えています。バス向けのモーターは115キロワットから315キロワットという巨大な出力が必要になります。市内を巡回する公営バスは、一般の乗用車に比べて1日の走行距離が予測しやすく、かつ比較的短い傾向にあります。そのため、充電の管理が行いやすい性質を持っており、EV化との相性が極めて良い乗り物だと判断されています。

インド政府がここまで電動化を推し進める背景には、深刻化する大気汚染の緩和と、国家財政を圧迫する原油の輸入急増に歯止めをかけたいという切実な狙いがあります。政府は2019年から2021年までの期間に、約1580億円という莫大な予算を投じる計画を策定しました。これは過去の類似の促進計画と比較すると約50倍の規模に達しており、国家の本気度がうかがえます。

この手厚い政府予算により、車両の購入時には代金の1割から2割に相当する補助金が支給される仕組みが整っています。この優遇策の恩恵を受ける対象として、バイクが100万台、三輪車が50万台、四輪車が5万5000台、そしてバスが7000台も想定されています。このような強力な追い風が吹く環境であれば、三井物産がこのタイミングで現地に深く根を下ろす決断をしたのも大いに頷ける話です。

EVの心臓部にあたる駆動用モーターは、これまでは大手の自動車メーカーが自社で開発・生産する「内製化」が主流でした。しかし、次々と誕生している新興国の新しいEVメーカーや新規参入組は、開発のスピードを最優先するために、主要な部品を外部の専門業者から調達するケースが目立っています。このように分業を進める傾向は、今後5年から10年の間でさらに加速していくでしょう。

調査データによれば、世界の駆動用モーターの市場規模は、2030年には2015年時点の数字と比べて約16倍となる190億ドルにまで膨れ上がると予測されています。まさに爆発的な成長前夜と言えます。ただ、インドにおいてEVが一般に広く普及していくための最大の課題は、街中における充電スタンドなどのインフラ整備が追いついていない点にあると言えます。

幸いなことに、主力の電動バイクであれば一般家庭のコンセントに接続して手軽に充電を済ませることができます。そのため、四輪のEVと比べるとインフラの制約を受けにくく、先行して市場が立ち上がる可能性が極めて高いでしょう。一方で、今後の四輪EVの普及スピードに関しては、公共の急速充電器がどれだけ速く街中に整備されるかが、文字通り成否を握るカギになりそうです。

私は今回の三井物産の取り組みについて、極めて戦略的かつ勝算の高い見事なビジネス展開であると考えています。インフラの未整備という課題を的確に見抜き、まずは家庭で充電できるバイク市場のハイエンド層を狙うというアプローチは現実的です。日本が誇る商社の営業力と台湾の優れた製造技術が融合すれば、巨大なインド市場の覇権を握ることも決して夢ではないと確信しています。

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