2020年春、日本国内でもいよいよ新しい通信規格「5G」の商用サービスが幕を開けます。スマートフォンでの動画視聴が劇的にスムーズになるなど、私たちの生活は大きく変わるでしょう。しかし、世界に目を向けると、驚くべきことに早くもその次の世代である「6G(第6世代移動通信システム)」を見据えた激しい開発競争がスタートしています。
通信規格の分野で主導権を握り、関連する特許を獲得することは、世界規模でのビジネスにおいて巨額の利益を生み出す源泉となります。残念ながら日本は現在の5G開発において、海外の競合に一歩出遅れてしまいました。この苦い経験をバネに、次なる「6G」の舞台で世界トップへ返り咲くため、政府と民間企業が一体となった大がかりな巻き返し作戦がいよいよ始動します。
総務省は2020年1月中に、東京大学の五神真学長を座長に迎え、高市早苗総務相が直轄する特別な「官民研究会」を立ち上げることを決定しました。ここにはNTTや東芝といった日本を代表するテクノロジー企業のリーダーたちも集結します。2020年6月までに、6Gが目指すべき性能目標や国による政策支援を盛り込んだ総合戦略をスピーディーに策定する方針です。
このニュースに対し、SNSでは「5Gすら始まっていないのにもう次なのか」「置いていかれた日本がここから逆転してほしい」といった期待の声が多数寄せられています。さらに「SF映画のような暮らしが本当にやってくるかも」という興奮気味の書き込みも見られ、多くのユーザーが2030年の未来予想図に高い関心を寄せていることが分かります。
5Gの10倍の速度が創り出す、まるでSFのような2030年の未来生活
それでは、2030年ごろに実現が期待される6Gの世界とは、一体どのようなものなのでしょうか。総務省の見通しによれば、その通信速度は5Gの最低でも10倍以上に達します。これまで以上に膨大なデータを一瞬で送受信できるようになるため、まだ誰も体験したことのない、全く新しいエンターテインメントやサービスが私たちの前に姿を現すでしょう。
例えば、遠く離れた会議室や学校の教室に、個人の立体映像(ホログラム)を本物さながらに浮かび上がらせることが可能になります。まるでその場に本人がいるかのような感覚で、リアルタイムのコミュニケーションが楽しめるのです。さらに、高度な人工知能(AI)を搭載したロボットが、人々の身の回りの世話を完璧にこなす社会も夢ではありません。
このように人々の期待が膨らむ一方で、専門的な課題も残されています。超高速通信を実現するためには、まだ誰も利用していない「高い周波数の電波」を新しく開拓し、通信に活用する技術が必要です。周波数が高くなればなるほど、一度に運べる情報量は増えますが、電波が遠くまで届きにくくなる性質があるため、克服すべき壁は決して低くありません。
世界のライバルも一斉に始動!日本が誇る強みと通信の安全対策
2030年の実用化を目指しているのは日本だけではありません。中国政府は2019年11月に、早くも6Gの研究開発を専門に行う2つの国家機関を発足させました。また、北欧のフィンランドでも大学や政府系機関が国家プロジェクトを始動させています。お隣の韓国でも、2019年中にサムスン電子やLG電子といった世界的大企業が次々と研究センターを設立しました。
この世界的な大競争を勝ち抜くために、日本は独自の強みを生かす必要があります。あらゆるモノがインターネットにつながる時代には、高度な「セキュリティー対策」と「省エネ技術」が不可欠です。現在、東芝は理論上どんなスーパーコンピューターでも絶対に暗号を解読できないとされる、究極の「量子暗号通信」技術の開発を急ピッチで進めています。
さらに、NTTは通信ネットワークを流れる光信号を、電気信号に変換することなくそのまま処理する次世代技術を開発中です。これにより、データ通信にかかる電力を劇的に抑えることができます。私は、この日本が誇る「安全・安心」と「省エネ」の技術こそが、世界の強豪たちに対抗し、主導権を握るための最大の武器になると確信しています。
5Gの普及を目前に控えながら、すでに10年先の未来に向けた号砲は鳴らされています。日本が過去の遅れを乗り越え、官民の知恵を結集して世界のリーダーへと飛躍することを期待せずにはいられません。技術大国としてのプライドをかけた日本の挑戦を、これからもメディアとして熱く見守り、追い続けていきたいと思います。
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