青い空と見渡す限りの緑、そして自然が織りなす美しい曲線が、多くのプレイヤーを魅了してやまないゴルフの世界です。日本経済新聞の「NIKKEI The STYLE」で約2年間にわたり連載された大人気企画「フェアウェーの記憶」が、ついに待望の書籍化を迎えました。これを記念して、文壇きってのゴルフ通として知られる作家の伊集院静氏と、世界中の美しいグリーンを切り取ってきた写真家の宮本卓氏による特別な対談が行われました。お二人が語る海外名門コースの真髄には、これからの人生を豊かにするヒントが満載でしょう。
17年という長きにわたり、共に世界各地のゴルフ場を巡ってきたお二人ですが、旅の原点はやはりゴルフの聖地スコットランドにあるようです。伊集院氏は、海外の名門コースに共通する魅力として、地形や大自然に見事になじんでいる点を挙げています。例えば、1552年に開場した世界最古のコースとして名高い「セントアンドリュース・オールドコース」は、日曜日になると一般に開放されます。女性がハイヒールで散策しても足跡すら残らないほど、繊細でありながら強靱な芝生が維持されているのは驚きですね。
SNS上でも「自然の地形をそのまま活かしたコースは、写真で見ているだけでも圧倒される」「一度は聖地を歩いてみたい」といった憧れの声が数多く寄せられています。宮本氏も、現代の土木技術で急速に造られたゴルフ場とは一線を画す、自然が生み出した美しい曲線やこぶの造形美を大絶賛しています。ここでいう「リンクス」とは、海岸沿いに広がる砂丘地帯に造られたゴルフコースを指す専門用語です。風が強く樹木が少ない過酷な環境だからこそ、プレイヤーの精神が試される独自の魅力が宿るのでしょう。
さらに、全英オープンが初めて開催された歴史を持つ「プレストウィックゴルフクラブ」も、1851年の開業以来、多くのゴルファーを惹きつけてやみません。現代の日本のゴルフ場と比べると敷地は半分ほどですが、もともとあった草地だけを利用して造られたその姿は、まさにゴルフの起源を感じさせます。丘の上の見えないターゲットに向かって球を打ち、打ち終えたら次の組に鐘を鳴らして合図するという、古き良き伝統的なプレースタイルが今も息づいているのです。
歴史を紐解くと、ゴルフの発展は産業革命や鉄道の進化、さらにはアメリカへの移民の歴史とも深く結びついています。時代が移り変わり、現代ではインターネットで事前に全ホールの映像を確認できるようになりました。さらに飛行機やバッグの質も向上し、お気に入りの道具を傷つけることなく世界中へ持ち運べる快適な時代を迎えています。移動の利便性が高まったからこそ、私たちは純粋に旅とスポーツが融合した贅沢な時間を堪能できるのではないでしょうか。
名門コースは決して華美ではなく、小さなクラブハウスやぽつんと佇む小屋があるだけで、本質的な勝負の場を提供してくれます。宮本氏はスコットランドの田舎町を訪れた際、物がない質素な暮らしの中でも、美味しいお酒とゴルフコースがあれば十分に幸せな人生を送れると実感したそうです。これぞまさに、大人の贅沢の極みと言えます。近年は日本でもカート移動が主流ですが、歩くこと自体がゴルフの醍醐味であり、健康的な身体を維持するための素晴らしい手段になります。
実際に、最近の元気なシニア世代の方々は、こぞってグリーンに足を運んでいる印象があります。65歳からゴルフをスタートさせる方も珍しくなく、今後は90歳を超えても軽やかにプレーを楽しむ人がどんどん増えるに違いありません。単なるスポーツとしての枠を超え、身体を動かした後に極上のワインやスコッチを味わう「アフターゴルフ」の時間こそ、ゴルフが人生最高の趣味と言われる理由でしょう。あなたも一度、生涯の記憶に残る素晴らしいゴルフの旅へ出かけてみませんか。
私自身、この記事を通じて、ゴルフが単なるスコアを競うゲームではなく、自然や歴史、そして旅そのものを楽しむ文化なのだと改めて強く感じました。道具の進化や移動のしやすさに甘んじることなく、自然への敬意を払いながら自分の足で歩くことの豊かさは、現代を生きる私たちが見習うべき姿勢です。日常の喧騒から離れ、大自然の中で心身をリフレッシュさせる贅沢な時間は、日々の生活に極上の彩りを与えてくれるに違いありません。
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