日本経済の停滞を打破する鍵!深刻な人手不足が企業の生産性向上を促す「覚醒への警鐘」となる理由

2012年に始動したアベノミクスは、2020年1月20日現在で8年目を迎えています。名目国内総生産(GDP)や企業収益、雇用環境といった指標には確かな回復の兆しが見えるでしょう。しかし、肝心の経済成長率は依然として低い水準に留まっています。この停滞を引き起こしている最大の要因は、生産性が伸び悩んでいる点に尽きるはずです。少子高齢化によって労働力も資本も量的な拡大が望めない今、生産性の向上なくして未来の成長は期待できません。

現状では、人々の将来に対する期待感が弱く、消費や投資も力強さを欠いている印象を受けます。これが、現代の日本経済を覆う重苦しい閉塞感の正体ではないでしょうか。マクロ経済における需要と供給の視点から分析すると、デフレの本質は「需要の崩壊」です。政府の大胆な財政金融政策は需要の修復に一定の成果をあげました。しかし、いくら需要を刺激しても供給サイドが追いつかなければ、経済は健全な拡大を続けられないのです。

生産性を引き上げるには、企業が労働生産性の向上、つまり「労働者1人が一定時間に生み出す成果」を高める取り組みが不可欠となります。ところが、日本企業の動きは非常に鈍いと言わざるを得ません。例えばイギリスのロンドンでは、スーパーのセルフレジ導入が当然の風景です。一方で日本の店舗では、今も多くの店員がレジ打ちを担当しています。これでは、10年前や20年前の古いビジネスモデルから脱却できているとは言えません。

こうした状況の背景には、過去20年間にもわたり日本の賃金が全く上がっていない事実が深く関係しています。人件費が増えなければ、企業はわざわざ業務プロセスの変革に投資する必要性を感じないのでしょう。これに対して欧米では、同期間に賃金が50%以上も上昇しました。欧米企業は、毎年のように迫り来るコスト上昇へ必死に対応したからこそ、業務の効率化と生産性向上を成し遂げられたのだと考えられます。

このデフレ特有の甘えを断ち切るには、企業を揺り動かす「ウェークアップコール(覚醒への警鐘)」が欠かせません。具体的には、大幅な賃上げか、あるいは事業継続を脅かすほどの強烈な人手不足が必要となるでしょう。SNS上でも「給料が安すぎるから人が来ないだけで、業務を自動化すれば解決するはず」「切羽詰まらないと変われないのは日本の悪癖」といった、企業の姿勢変化を促す厳しい声が数多く上がっています。

2019年のノーベル経済学賞受賞者であるバナジー氏とデュフロ氏の著書には、興味深い事例が記されています。かつてアメリカのカリフォルニア州では、トマト収穫をメキシコ人労働者に依存していました。しかし1964年に制度が変更され、突如として彼らを雇用できなくなったのです。追い詰められた農家は猛烈な勢いで技術開発を進め、わずか3年後の1967年には収穫の完全な機械化を達成しました。

労働力が確保できなくなれば、人間は知恵を絞って必死に対応する好例と言えます。日本企業も、いよいよ同様の覚悟を決めるべき時が来ているのではないでしょうか。人手不足の深刻化は一見すると経済のマイナス要因ですが、これこそが日本経済を覚醒させる最大のチャンスです。痛みを伴う変化を恐れず、テクノロジーの導入や業務改革へ果敢に挑戦する企業が増えることを、私は強く期待しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました