日本政府観光局(JNTO)が発表したデータによると、2019年の訪日外国人客数は前年比2.2%増の3188万人に達し、8年連続で過去最高を更新しました。世界中から日本への注目が集まる中、数字の上では喜ばしい結果となっています。しかし、その内訳を見てみると、インバウンド市場の大きな地殻変動が浮き彫りになりました。
今回の発表で最も注目を集めているのが、韓国からの観光客が前年比25.9%減の558万4600人と大幅に落ち込んだ点です。SNS上でも「これだけ減ると観光地への影響が心配」「地元の温泉街から韓国人客の姿が消えた」といった、悲痛な声や今後の懸念が多数寄せられています。
この急減の背景には、同年7月に日本政府が発動した輸出管理の厳格化に対する、韓国国内での反発があります。これにより現地では日本製品の不買運動が激化し、その矛先が日本への旅行そのものにも向けられました。政治的な冷え込みに加え、韓国経済の低迷も重なり、航空便の減便や運休が相次いだことが響いています。
そんな韓国の落ち込みを補ったのが、前年比14.5%増の959万4300人を記録した中国からの観光客です。2019年1月から個人向けの発給要件、つまりビザを申請する際の条件が大幅に緩和されたことが追い風となりました。航空路線の新規就航も相次ぎ、圧倒的な存在感を示しています。
さらに、秋に開催されたラグビーワールドカップ2019日本大会の熱狂も、欧米豪からの訪日客を大きく押し上げました。JNTOが重点的に統計をとっている20の国と地域のうち、なんと韓国を除く19の国・地域が過去最高を更新するという異例の事態となっています。
観光業界の動向を見ると、特定の国に依存しすぎるリスクが浮き彫りになったと言えるでしょう。一国との関係悪化が全体の伸び幅を鈍化させる要因になるからこそ、今回のラグビーW杯のように世界中から多様な客層を呼び込む「市場の分散化」を進めることが、今後の持続可能なインバウンド戦略には不可欠です。
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