5G到来で半導体市場が激変!アドバンテスト吉田社長が語る2020年の成長戦略とテスター需要の未来

半導体市場の長い低迷期に、いよいよ終わりの兆しが見えてきました。次世代通信規格「5G」の本格的な普及やメモリー投資の回復を背景に、2020年の半導体市況は劇的な反転攻勢へ向かう見通しです。この追い風を一身に浴びているのが、半導体の性能を試験する「テスター」で世界をリードするアドバンテストです。同社の吉田芳明社長への新春インタビューからは、激変する市場を勝ち抜くための緻密な戦略と、技術の未来図が浮かび上がってきます。

インターネット上では「5GやAIの進化には高性能なテスターが不可欠」「アドバンテストの技術力が日本の半導体関連株を牽引している」といった期待の声が多数寄せられており、同社の動向には投資家や技術者から熱い視線が注がれています。

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5GとAIが牽引する「SoC向けテスター」の爆発的需要

スマートフォンの高機能化や人工知能(AI)の急速な普及に伴い、データを処理する中心的な半導体である「SoC(システム・オン・チップ)」向けのテスター需要が急増しています。SoCとは、一つのチップ上にCPUや通信機能など必要なシステムを凝縮した複合半導体のことです。吉田社長によると、2019年度の上半期は5G対応スマホや高性能コンピューター向けの引き合いが想定以上に好調を維持しました。

ただし、2020年1月から3月期に関しては、これまでの急激な勢いに対する反動を覚悟していると冷静に分析します。5Gの基地局整備や端末の普及にはまだ時間を要するため、短期的には一進一退の局面もあるでしょう。それでも、長期的視点に立てば市場が右肩上がりの確実な成長軌道を描くことは間違いありません。高周波の5G機器に対応した同社の最新テスター「V93000」などが、今後の成長の強力な原動力になりそうです。

メモリー市況の底打ちと次世代規格「DDR5」への期待

データ保存を担うメモリー半導体の市場にも、明るい兆しがはっきりと現れ始めています。スマートフォンのストレージなどに使われるNAND型フラッシュメモリーの価格は、2019年度の上半期を大底として完全に下げ止まり、足元では力強い上昇基調に転じました。パソコンの供給不足問題が解消に向かえば、2020年度の上半期にはさらなる市場の回復が期待できるでしょう。

膨大なデータが行き交う5G時代においては、より高速で大容量の記憶装置が絶対条件となります。一時的なデータ記憶を行うDRAMの全面回復にはもう少し時間を要するものの、次世代の高速メモリー規格である「DDR5」の本格生産が2020年前半にスタートする予定です。この新規格に対応するテスターへの引き合いはすでに活発化しており、技術転換期ならではの商機が確実に巡ってきています。

ハードからソフトへ!製造現場を支えるソリューション戦略

一方で、米中貿易摩擦の長期化などにより、自動車や工作機械といった世界的な景気は減速感が否めません。こうした外的な環境変化に対し、アドバンテストは単に顧客の設備投資だけに依存する一本槍のビジネスモデルからの脱却を図っています。同社が新たに力を注ぐのが、データとAIを活用したサービスやソフトウエア事業の強化です。

現代の半導体工場では、各製造装置から日々膨大なデータが生み出されています。このデータを活用して工場の生産効率を高めたいというニーズは非常に強力です。例えば、AIを用いて装置の突発的な故障を事前に予知したり、製品の歩留まり(生産された全体の機械のうち、良品が占める割合)を劇的に改善させたりする高度なサービスが具現化しつつあります。

特に安全性が最優先される車載用半導体などでは、わずかな品質の欠陥も許されないため、人手を介さない生産ラインの全自動化が急務です。半導体プロセスの複雑化により、メーカーが自前でこうした制御システムを構築することは限界に達しています。だからこそ、信頼性の高いハードウエア(テスター)の強みを活かし、安心・安全を提供するトータルソリューションへと事業を広げる戦略は極めて合理的であり、時代に即した正しい選択であると考えます。

未来を見据えた攻めの投資とM&Aで売上高4000億円へ

気になる2020年度(2021年3月期)の業績見通しですが、前年度を上回る増収増益を目指せる好環境が整いつつあります。過去に需要が急増して供給が逼迫した経験を教訓に、次に到来する巨大な需要の波に対しても、今回は柔軟かつ万全に対応できる体制が整っているようです。同社は2027年度までに売上高を最大4000億円まで引き上げる壮大な長期目標を掲げています。

この目標達成に向け、現行の中期経営計画では1000億円規模のM&A(合併・買収)枠を設定し、シナジーが見込める周辺領域の取り込みを狙っています。テスト工程に付随する接続治具や搬送装置、消耗品といった未開拓の分野を自社に取り込むことで、試験技術を文字通り極める構えです。中核事業を守りつつ、攻めの姿勢でサービス領域を広げるアドバンテストの挑戦は、日本の製造業の未来を明るく照らしています。

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