私たちの生活にすっかり定着したキャッシュレス決済ですが、政府が掲げる目標に向けてその勢いはさらに加速しています。日本銀行が発表したデータによると、2018年の電子マネー決済額は5兆4790億円を記録し、前年と比べて5.4%も増加しました。お財布を持たずに買い物ができる快適さは、一度体験すると手放せなくなるものです。SNS上でも「小銭の出し入れがなくて本当にスムーズ」「一度に支払いが終わるからストレスフリー」といった、利便性を絶賛する声が日々多く投稿されています。
一口にICカードと言っても、実は仕組みによって2つの種類に分類されることをご存じでしょうか。1つは、カードの表面にある金属のチップに直接、機械の端子を触れさせてデータを読み取る「接触式」と呼ばれるタイプです。こちらはセキュリティの高さから、クレジットカードや銀行のキャッシュカードといった高い安全性が求められる金融分野で広く活躍しています。そしてもう1つが、チップに小さなアンテナを内蔵し、電波を使って瞬時に情報をやり取りする「非接触式」という仕組みです。
この非接触式の代表格といえば、JR東日本が提供する「Suica(スイカ)」などの交通系カードや、イオンの「WAON(ワオン)」といった流通系の電子マネーが挙げられます。これらにはソニーが開発した「FeliCa(フェリカ)」という高度な無線通信技術が使われており、圧倒的な処理スピードを誇るのが特徴です。ネット上では「改札を通過するときのあのスピード感はフェリカならでは」「かざすだけで一瞬で決済が終わるのが最大のメリット」と、その快適さに魅了されているユーザーが目立ちます。
QRコード決済の台頭と電子マネーの逆襲
しかし、現在の決済市場はまさに戦国時代を迎えています。スマートフォンに表示された画像を読み取る「QRコード決済」が猛烈な勢いでシェアを拡大しているからです。PayPay(ペイペイ)や楽天、LINEといった大手企業が次々と参入し、派手な還元キャンペーンで世間を賑わせています。店舗側にとっても、専用のバーコードを印刷した紙をレジ横に掲示するだけで導入できるため、高額な読み取り機械を買う必要がないという圧倒的な手軽さが爆発的な普及を後押ししました。
決済の手軽さという視点に立つと、実は電子マネー側にも大きなアドバンテージが存在します。QRコード決済は、スマホのロックを解除してアプリを起動し、カメラでコードを読み取って金額を入力するといった複数の操作を求められる場面が少なくありません。一方で、電子マネーであればポケットからカードやスマホを取り出して、読み取り機にそっとかざすだけで一瞬で支払いが完了します。この「ノーステップ」の手軽さこそが、電子マネーが根強く支持される理由と言えるでしょう。
こうした双方のメリットを取り込み、店舗側の導入ハードルを下げる画期的な動きが活発化しています。大日本印刷は、1台で電子マネーやクレジットカード、さらにはQRコード決済まで一括して処理できる「DNPマルチペイメントサービス」の機能を大幅に強化しました。これにより、レジ周りに何台も端末を並べる必要がなくなり、お店のスペースをすっきりと有効活用できるようになります。店員さんの操作の手間も劇的に減るため、人手不足に悩む店舗にとって非常に心強い味方です。
さらに、リクルートライフスタイルが展開する「Airペイ(エアペイ)」も、iPadやiPhoneにコンパクトなカードリーダーを接続するだけで20種類以上の決済に対応できる手軽さがウケて、導入台数を順調に伸ばしています。私は、こうした決済インフラの進化こそが、日本のキャッシュレス化の鍵を握っていると考えます。お店側が「これ1台あれば何でも使える」という状態になれば、消費者は自分の好きな決済方法を自由に選べるようになり、社会全体の利便性が底上げされるはずです。
行政手続きにも広がるIC技術の未来
この便利なICカードの技術は、民間の買い物だけでなく、私たちの暮らしを支える行政サービスの世界にも深く浸透し始めています。その筆頭がマイナンバーカードであり、これ1枚で確実な身分証明書になるだけでなく、様々な行政手続きをインターネット上からオンラインで申請できるようになりました。わざわざ平日に仕事を休んで役所の窓口に並ぶ必要がなくなる未来が、すぐそこまで来ています。さらに国土交通省では、従来の紙の車検証を廃止してICカード化する方針を固めました。
車検証がデジタル化されれば、車検の履歴や過去の故障データなどをICチップ内で効率的に管理し、自動車のメンテナンスや安全対策に有効活用できるようになります。このように、ICカードがより便利に普及していくためには、決済だけに留まらない「多様な用途の開拓」が最も重要なポイントになるでしょう。私たちの生活のあらゆる場面がデジタルでつながることで、これまでにない新しい快適さや安心感が生まれることは間違いありません。
現在、この巨大なICカードシステム市場では、最先端の技術を誇る「メーカー系」と、顧客に寄り添う提案力が強みの「印刷系」という2大勢力が激しい競争を繰り広げています。ソニーなどのメーカー系は、カードを改札機にかざすことすら不要にする「タッチレス改札」の試作を進めるなど、圧倒的な技術革新に挑んでいます。一方の大日本印刷や凸版印刷といった印刷系は、カードの製造から安全なクラウド決済基盤の構築までを丸ごと引き受ける総合力で勝負しています。
最先端のテクノロジーを競い合うメーカー系と、店舗や利用者の使いやすさを追求する印刷系。この両者が切磋琢磨することで、日本の決済環境はさらに洗練されていくでしょう。スマホ1つ、あるいはカード1枚で、日常生活のあらゆる行動が完結するスマートな社会の実現に向けて、各社の次なる一手に大きな期待が寄せられています。SNSでも「未来の生活がどう変わるのかワクワクする」といった声が多く、この進化から今後も目が離せません。
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