暗号資産(仮想通貨)の世界に、投資家たちの注目を集める大きな変化が訪れようとしています。金融庁は、少ない資金で何倍もの取引が可能となる「証拠金取引」において、その倍率、いわゆるレバレッジの上限を最大2倍までに制限する方針を固めました。これまでは政府による明確な基準が存在していませんでしたが、いよいよ2020年春に施行される改正金融商品取引法の内閣府令によって、新たなルールが動き出す見込みです。
この規制の背景には、急激な価格の変動によって投資家が予想外の甚大な損失を被るリスクを回避し、過度なギャンブル的投機を抑制するという強い狙いがあります。金融庁は2020年1月中にこの「2倍案」に関する一般からの意見公募(パブリックコメント)を開始し、春の本格導入に向けて手続きを進める方針です。業界の健全化を目指すこの動きに対し、SNS上では「安全性が高まるのは良いこと」と歓迎する声が上がっています。
その一方で、ネット上には「ボラティリティ(価格変動の激しさ)が強みの仮想通貨で取引の魅力が半減してしまう」といった、投資家からの落胆や戸惑いの声も数多く見られました。ここでの「証拠金取引」とは、一定の保証金を担保として預けることで、その何倍もの金額を動かせる取引方法を指します。少ない元手で巨額の利益を狙える反面、予測が外れた場合には預けた資金以上の負債を抱える危険性も隣り合わせのシステムです。
政府がこのように規制強化へと舵を切ったきっかけは、2018年1月26日に発生したコインチェック社からの巨額暗号資産流出事件でした。この事態を重く見た国は、2019年5月31日に資金決済法と金融商品取引法の改正法を成立させています。これまで国内の業界自主規制団体によってレバレッジは4倍までと定められていましたが、今回の法改正によって、さらに厳格な法的拘束力を持つルールへと移行することになりました。
今回の新ルールにより、仮想通貨は外国為替証拠金取引(FX)と同じように、金融商品取引法の厳しい監視下に置かれることになります。国内の仮想通貨市場における売買の多くは証拠金取引が占めているため、この法改正は市場全体の資金の流れに劇的な変化をもたらすでしょう。投資のハードルが上がることで一時的に市場が冷え込む可能性は否定できず、短期的な利益を求める資金が海外の取引所へ流出する懸念も残ります。
しかし、編集部としてはこの規制強化を日本の暗号資産市場が「大人の市場」へと脱皮するための必要な試練であると捉えています。怪しげな投機対象から、信頼できる健全な金融商品へと進化するためには、強固な消費者保護の壁が不可欠です。目先の利益に惑わされず、リスクを適切にコントロールしながら長期的な資産形成を行える環境が整うことは、結果として多くの新しい投資家を呼び込む呼び水になるに違いありません。
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