現代の私たちが日常的に使っている「ことわざ」ですが、そのルーツを深く考えたことはあるでしょうか。2020年1月11日に発売された時田昌瑞先生の著書『絵で楽しむ江戸のことわざ』は、そんな言葉の歴史をユーモアたっぷりに紐解いてくれる魅力的な一冊です。本書は、江戸時代に大流行した「いろはカルタ」や、当時の世相を風刺した「戯画(ぎが)」などに描かれたビジュアルを基に、言葉の真意を解説しています。文字だけでは伝わりにくい当時の文化が、生き生きとした絵画を通してダイレクトに伝わってくるのが特徴でしょう。
例えば、「鬼の留守に洗濯」という有名なフレーズがあります。これを聞いた時、皆さんは何を洗う姿を思い浮かべるでしょうか。多くの人は衣類の洗濯を連想しがちですが、実はここでの「洗濯」とは、心の命洗濯、つまり「命を延ばしてのんびりと命を養う、リフレッシュする」という意味を指しています。厄介な存在がいない間に、羽を伸ばして心の垢を洗い流すという、なんとも人間味あふれるニュアンスが含まれているのです。こうした言葉の本来の意図を知ることで、いつもの会話が少し豊かになりそうですね。
また、「ひもじい時の不味いものなし」という教訓も、深く心に刺さる言葉だと言えます。これは、どれほどお腹が空いていても、極限状態の飢えこそが最高の調味料になり、どんな食事も美味しく感じられるという人間の心理を突いた格言です。飽食の時代と言われる現代に生きる私たちにとって、このメッセージは「物があることへの感謝」を思い出させてくれる自戒の念を含んでいるのではないでしょうか。贅沢に慣れてしまった視点をガラリと変えてくれる、先人たちの鋭い観察眼には本当に驚かされるばかりです。
SNS上でもこの本は大きな話題を呼んでおり、「江戸時代のカルタの絵がシュールでとにかく面白い」「クスッと笑えるのに、現代にも通じる深い人生訓が詰まっている」といった絶賛の声が相次いでいます。当時は現代よりも娯楽が限られていたからこそ、庶民は一枚の絵に多くのウィットやユーモア、そして生きるための知恵を凝縮させていたのでしょう。角川ソフィア文庫から1,160円で手に入るこの書籍は、歴史好きな方はもちろん、日々の生活にちょっとした知的刺激や癒やしを求めている方にも、自信を持っておすすめできる名著です。
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