東京商工リサーチ関西支社が2020年1月10日に発表したデータによると、近畿2府4県における2019年の企業倒産件数(負債総額1000万円以上)は2171件に達しました。これは前年と比較して3.5%の増加となり、2年ぶりに前年実績を上回る結果となっています。数字だけを見ると景気の後退を心配してしまいますが、実は1991年以降の長期的な推移の中では3番目に低い水準にとどまっているのが特徴です。
SNS上では「思っていたよりも持ちこたえている印象」といった安堵の声がある一方で、「中小企業の現場は数字以上に厳しいのではないか」というリアルな不安の声も広がっています。今回の調査で特に注目すべきは、業種別の偏りでしょう。人々の生活に身近な飲食店をはじめとするサービス業の倒産が759件と、全体の35%を占める事態となりました。これは前年比で5.6%も跳ね上がった計算になります。
この背景には、2019年10月に実施された消費税率の引き上げが大きく関係していると考えられます。消費増税とは、商品やサービスの購入時にかかる税率が引き上げられる政策のことです。これにより消費者の生活防衛意識が高まり、外食やレジャーなどの支出を控える「消費マインドの低下」が引き起こされました。その結果、顧客を失ったサービス業の経営が急速に悪化してしまったと推測できます。
大型案件が押し上げた負債総額とこれからの展望
さらに驚くべきは、負債総額が前年比32.2%増の3181億6200万円にまで膨れ上がった点です。件数の伸びに対して金額が急増した要因は、特定の巨大倒産にあります。パナソニックの子会社であるMT映像ディスプレイ(大阪府門真市)が、負債額1000億円以上を抱えて「特別清算」の手続きに入ったことが、全体の金額を大きく押し上げました。
特別清算とは、株式会社が経営破綻した際、裁判所の監督のもとで残った財産を処分して会社を完全に消滅させる法的な手続きを指します。通常の倒産よりも厳格に債務が整理されるため、大規模な企業集団の整理によく使われる手法です。ネット上では「大企業の再編が地元のサプライチェーンに与える影響が恐ろしい」といった、二次被害を懸念するツイートが目立ちました。
私は、この一見相反するデータこそが現在の経済の歪みを表していると感じます。倒産件数自体が歴史的に低い水準なのは、政府の融資緩和などが下支えしているからに過ぎません。しかし、消費増税という強力なブレーキと大企業の構造改革が重なったことで、現場の体力は確実に削られています。数字の穏やかさに安心せず、今後はさらに地域経済の動向を注視していく必要があるでしょう。
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