📱競争激化!ドコモ「スマホおかえしプログラム」の勝算と巧妙な価格戦略【2019年最新動向】

2019年6月、NTTドコモはスマートフォン(スマホ)の新しい購入方法として「スマホおかえしプログラム」を発表し、大きな話題を呼びました。この発表は、同月から開始された新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」とセットで導入された、まさに苦肉の策とも言える施策でしょう。新料金プランでは、法律に基づき通信料金と端末代金が明確に分離されたため、これまで当たり前だった端末購入時の通信料金からの割引補助が廃止されてしまいます。その結果、高額なスマホの本体代金がそのまま利用者に重くのしかかり、機種変更をためらう人が増えてしまう懸念があったのです。

こうした状況を打開するためにドコモが打ち出した「スマホおかえしプログラム」は、対象となるハイエンドスマホを36回の分割払いで購入し、機種変更などで利用していたスマホをドコモに返却すると、最大で12回分の分割支払金、すなわち残りの債務(残債)の支払いが不要になるという仕組みです。つまり、36回払いのうち24回分を支払うだけで済むため、実質的な負担を軽減できるというわけです。この手法は、既にKDDIやソフトバンクが2015年以降に導入し、主流となっていた販売方法にドコモが追随した形になります。

【Image of a smartphone purchase program comparison showing 36 payments with 12 waived on return】

この種の販売プログラムは、端末購入補助がない状態で高額なスマホを24回払いで購入すると、例えば本体価格12万円の機種では月々5,000円と利用者の負担額がかなり大きくなってしまう問題を解決します。支払い回数を48回に倍増すれば、月々の負担額は2,500円と半分に抑えられます。しかし、4年間も同じ機種を使い続けるのは現実的ではないため、24回の支払いが完了した時点で残債の負担なしに次の機種へ変更できるようにするのが、KDDIやソフトバンクが導入していたプログラムの大きな狙いです。これは、2年ごとの機種変更を促進し、メーカーのスマホ販売台数を維持する、キャリアにとって非常に合理的な戦略と言えるでしょう。

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公正取引委員会が指摘した問題点とドコモの工夫

実は、この種の「機種変更を前提とする」販売方法は、公平な競争環境を求める声や、公正取引委員会(公取委)からの厳しい指摘に直面してきました。公取委は、一度このプログラムを契約すると、ユーザーが他の通信会社へ乗り換えにくくなり、「消費者の選択権を事実上奪い、独占禁止法上問題となる恐れがある」と指摘していたのです。当初、他社プログラムでは機種変更時にも同じプログラムを再度契約する必要があり、ユーザーが永続的にそのキャリアに留まらざるを得ない構造となっていました。この「消費者の選択の自由を奪う」という指摘を受けて、各社は機種変更時に同プログラムを再契約する必要がないようにルールを改定し、公取委の指摘をひとまず避けました。

しかしながら、プログラムがユーザーを4年間拘束する期間の長さや、機種変更を事実上の前提としている点については、「公平な競争の観点から問題がある」という指摘が依然として存在します。将来的に48回払いや機種変更を前提とするルール自体に、さらに厳しい規制のメスが入る可能性も懸念されています。

NTTドコモの吉沢和弘社長(当時)はかつて、他社の同様のプログラムに対して「利用者をあまりにも拘束しすぎる」と懸念を示していました。ドコモが今回、他社が主流とする48回払いではなく「36回払い」を採用し、また「次の機種を購入しなくても他社への移行も可能」という比較的緩いルールを設定したのは、そうした過去の懸念や公取委の指摘を考慮した上での判断でしょう。既存のKDDIやソフトバンクのプログラムが「機種代金が半額」を標榜しているのに対し、ドコモの方式では免除されるのが36分の12、すなわち3分の1の金額にとどまるのはこのためです。

他社を凌駕する「本体価格の引き下げ」という荒業

ドコモのプログラムは、他社と比較して残債の免除額では見劣りするかもしれませんが、同社はさらに**「本体価格を安くしてしまう」という大胆な戦略を打ち出しました。これは、プログラムの優位性だけでなく、端末購入の初期費用でも競争力を高めるという、まさに荒業**と言えます。

例えば、ソニーモバイルのハイエンドモデル「Xperia 1(エクスペリア ワン)」の税抜き本体価格を比較してみましょう。NTTドコモが9万5,400円、KDDIが10万4,000円、ソフトバンクが12万6,223円と、ドコモは他社よりも1万〜3万円近くも安い設定にしています。この本体価格の引き下げ戦略により、たとえプログラムの免除額が少なくても、KDDIでのXperia 1の最低負担額が6万1,360円であるのに対し、NTTドコモでの最低負担額は6万3,600円と、その差はわずか2,000円ちょっとに収まっています。価格競争力を維持するために、ドコモが細部にわたってコストを削り、工夫を凝らしたことが伝わってきます。

編集者としての見解とSNSの反響

私見ですが、この一連のドコモの動きは、分離プラン時代の競争激化を象徴していると感じています。特に、本体価格を他社より大幅に下げるという戦略は、ユーザーの初期負担を減らすという点で非常に魅力的です。プログラムの複雑さや、実質的な拘束期間の長さといった懸念は残るものの、ドコモが「利用者の選択の自由」を意識し、他社の先行プログラムよりも制約を緩やかにした点は評価できるでしょう。NTTドコモの吉沢社長が2019年5月16日に開催した2019年春夏商戦の新製品発表会で「スマホおかえしプログラム」を発表する様子()は、同社がこの問題に真剣に取り組んでいる姿勢を物語っています。

SNS上では、「ドコモがやっと他社に追いついた」「価格が下がって買いやすくなるのは歓迎」といったポジティブな意見がある一方で、「36回払いは長すぎる」「結局、端末を返さないと得にならないのはどうか」といった慎重な意見も見受けられます。消費者は、価格の安さと引き換えに求められる端末の返却や、長期的な支払い義務に対して、引き続き高い関心と警戒心を持っていることが伺えます。ドコモの新しい買い方はまさに苦肉の策ではありますが、今後、公取委の指導により48回払いが問題視されれば、KDDIやソフトバンクも36回払いに追随し、このドコモ方式が新たなスタンダードになる可能性も十分に考えられるでしょう。

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