近年、定年を待たずに会社勤めに区切りをつける「早期リタイア」を選択し、第2の人生として農業の道へ進む中高年層が急増しています。こうした時代の変化を捉え、農林水産省は2020年1月12日、これまで若者向けに限定していた就農研修事業の対象者を50歳代まで拡大する方針を打ち出しました。この大胆な政策転換は、第2の人生で土に触れ合いたいと願う多くの人々に新たな光をもたらす、非常に画期的な試みだと言えるでしょう。
これまでは49歳以下の若手への重点投資が目立っていたため、50代を狙い撃ちした支援は極めて異例な展開です。国内の農家は現在、なんと60歳以上が全体の8割を占めるという深刻な高齢化に直面しています。農水省としては、人生経験が豊富で意欲に満ちた中年層を幅広く受け入れることで、国内農業の生産力を底上げしたい考えです。今回の制度拡大により、経験ゼロからでも本格的に農業技術を習得できる環境が、いよいよ整うことになります。
SNS上でもこの発表は瞬く間に話題となり、「これなら自分も会社を早期退職して、憧れの田舎暮らしと農業を始められるかもしれない」といった、期待に胸を膨らませる投稿が相次いでいました。一方で「体力的に50代からのスタートは本当に可能なのか」といったリアルな不安の声も漏れており、世間の関心の高さがうかがえます。こうした人々の期待と不安を受け止める受け皿として、今回の研修事業には非常に大きな期待が寄せられているのです。
プロから学ぶ充実のカリキュラムと農業の未来
具体的な支援内容としては、都道府県の農業大学校や各市町村、さらには地域の農業協同組合、通称「JA」が手掛ける就農希望者向けのプログラムを、国が強力にバックアップします。JAとは、農家が出資して組織された協同組合のことで、技術指導から販売ルートの確保まで、農業に関わるあらゆる手続きを包括的に支えてくれる頼もしい組織です。半年から1年程度に及ぶ実践的なカリキュラムを通じて、未経験からでも安心して学べる環境が提供されます。
研修で取り扱うのは、トマトやキュウリといった日常的にニーズが高い主要な野菜のほか、地域独自の特色を活かしたリンゴやミカンなどの果樹栽培まで多岐にわたります。作物の育て方をイチから網羅できるため、実践的なノウハウが身につくでしょう。筆者個人の意見としても、ただの趣味の菜園に留まらず、地域の「担い手」という社会的に重要な役割を国がプロデュースしてくれるこの施策は、今後の日本の食を守る上での最善策だと確信しています。
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