2019年6月26日、富士通の時田隆仁社長が、デジタル化が進む現代社会における**「信頼」の重要性について、世界デジタルサミットで熱く語られました。同社は1970年代から「信頼と創造」を社是として掲げてきましたが、デジタル時代の到来により、その信頼のあり方が大きく変わったという認識を示しています。これは、単に製品やサービスを提供するだけでなく、社会からの要請に応える形で、信頼の概念そのものを再定義する必要があるという、強いメッセージだと受け取ることができます。
時田社長は、デジタル時代に求められるのは、ハードウェアやソフトウェア単体の信頼性だけでは不十分であり、それらをつなぎ合わせた(コネクテッドな)信頼の実現であると強調されています。この考え方は、まさに現代の複雑化したデジタルエコシステムを象徴しているといえるでしょう。一つ一つの要素が高品質であることは前提としつつも、それらが連携し合う「一連の流れ」全体で、いかに高い信頼性を担保できるかが、顧客に真の価値を提供するための鍵となる、という視点は非常に納得できるものです。
この「コネクテッドな信頼」を象徴する具体的な取り組みとして、医療現場での活用例が挙げられています。遠隔地からの診療では、AIによる画像認識の診断支援システム自体の信頼性はもちろん、医師と患者を結ぶ通信機器や通信回線の信頼性、そして画像を高品質に伝送する技術など、多岐にわたる技術が組み合わさって初めて、顧客である患者さんに価値を届けることが可能となるのです。これは、デジタル技術が社会インフラとして機能する上で、その土台となるシステム全体の頑健性(がんけんせい、システムなどが簡単には壊れない、安定している性質のこと)がいかに重要かを示している事例と言えるでしょう。
GAFAとの競争軸に見る富士通の独自価値
AIなどの先端技術分野においては、従来のライバル企業に加え、GAFA(ガーファ:米グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムの頭文字をとった巨大IT企業群の総称)やスタートアップとの競争が激化しています。時田社長は、自由な発想を持つスタートアップの良さを認めつつも、長年にわたり顧客企業のビジネスを支えてきた富士通の責任に言及されました。目新しい技術に飛びつくあまり顧客の信頼を損なうのではなく、信頼を基盤としながら新しい技術を取り入れていく姿勢こそが、同社の価値を伝える方法だと考えているようです。
特にクラウドサービスなどで競合するGAFAとの差異化については、興味深い見解が示されています。GAFAのプラットフォームは確かに信頼性が高いものの、利用する側にはデータの保管場所やセキュリティ対策など、「信頼性の確保」において相応の力量と責任が求められます。これに対し、富士通は、様々な技術の強みと弱みを熟知しており、顧客が抱えるこれらの不安を軽減できるポジションにある、と自信をのぞかせました。顧客のビジネスを深く理解し、その実情に合わせて技術を最適に組み合わせ、トータルで信頼性を担保できる点が、富士通の独自価値となっているのでしょう。
また、次世代通信規格である5G(ファイブジー、超高速・大容量、超低遅延、多数同時接続を特徴とする第5世代移動通信システムのこと)が本格的に普及すれば、無線区間の遅延時間が大幅に短縮され、あらゆる技術がこれまで以上の応答速度を求められるようになります。一つの技術の進化に合わせ、他の関連技術も進化させ、システム全体の信頼性を維持・向上させるには、高度な技術力が不可欠です。時田社長は、このような、単一の技術やサービスでは完結しない分野での信頼性こそが、「当社しかできない」差異化のポイントであると、強い意欲を示しています。
このインタビューは、時田氏が2019年6月24日付で社長に就任された直後の発言であり、新生富士通の経営方針を象徴するものと言えます。金融畑を歩み、メガバンクの基幹システム再構築などを手がけてきた同氏だからこそ、システム全体の信頼性、すなわち「コネクテッドな信頼」の重要性を深く理解しているのでしょう。SNS上でも、「デジタル化における信頼性の話は本質的」「GAFAとの競争軸の示し方が明確で分かりやすい」といった肯定的な反響**が見受けられ、富士通が目指す方向性への期待が高まっていることがうかがえます。今後、この「コネクテッドな信頼」を基軸に、富士通がどのような革新的な価値を社会に提供していくのか、注目していくべきでしょう。
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