ゲーム業界の巨人、セガゲームスは、海外市場での存在感を高めるため、M&A(合併・買収)を軸とした積極的な事業拡大戦略を推進しています。特に、英国の有力ゲーム開発会社を買収するなど、海外で高い人気を獲得できる**「売れるゲーム」のラインナップ拡充を急いでいる状況です。国内のスマートフォンゲーム市場が熾烈な競争に晒される中、海外拠点の強化を通じて、グローバルな収益基盤の確立を目指しているのです。
その象徴的な動きとして、セガゲームスは2019年6月26日に、英国に拠点を置くゲーム開発会社、ツー・ポイント・スタジオの全株式取得を発表しました。これは、2018年8月にセガゲームスが同社初のパソコン向けシミュレーションゲーム『ツー・ポイント・ホスピタル』の販売を担当した実績に基づいています。販売を通じて、高い開発力と市場での相乗効果が見込めると判断したことが、今回の完全子会社化へとつながったようです。
セガゲームスは以前から海外スタジオとの連携を深めており、2005年には同じく英国のクリエイティブ・アセンブリを買収しています。このクリエイティブ・アセンブリは、パソコン向け戦略ゲームの金字塔とされる『トータル・ウォー』シリーズの開発元として、世界的に知られている企業です。同社の海外事業を統括する宮崎達之取締役によると、「常に200社の企業と会話をしている」とのことで、M&Aに加えて販売業務の担い手となるなど、開発力を持つ企業との連携を多角的に強化していることがうかがえます。
現在、セガゲームスの海外ゲームスタジオは8社にのぼり、この数は他の日本のゲーム会社と比較しても非常に多い水準にあります。この体制を通じて、現地企業が開発し、世界市場に向けて販売するという戦略をさらに強化していく方針です。宮崎取締役は、「海外拠点の従業員数は全体の3分の1を超えたが、売上や利益はまだ半分に達していません。今後は3〜4年以内に、まずこの目標を達成したい」と、今後の具体的な収益目標についても言及しています。
一方で、日本国内で開発されたゲームの海外展開も重要視しています。一般的に、日本のゲームタイトルは海外でヒットを出すのが難しいとされてきましたが、グループ会社であるアトラス(東京・世田谷)が開発した家庭用ゲーム『ペルソナ5』は、欧米を含む世界中で人気を博し、累計出荷本数が200万本を突破する大成功を収めました。これは、日本発のゲームが持つ独自の魅力が、海外のファンにも着実に広がっていることを証明しているといえるでしょう。
セガゲームスがこれほどまでに海外展開に注力する背景には、日本国内のスマートフォンゲーム市場の競争激化があります。セガサミーホールディングスは、2019年3月期のデジタルゲーム分野(スマホゲームを含む)において、19億円の営業損失を計上しています。スマホゲームは、爆発的なヒットを生んだ際の利益幅は非常に大きいものの、昨今の開発費の高騰が深刻です。さらに、一度販売して終わりの「買い切り型」の家庭用ゲームとは異なり、配信後も継続的な運営が必要となり、人件費などのコストもかさみます。
この厳しい状況を受け、セガゲームスは収益を圧迫しているゲームのサービスを終了するなど、事業の「精査」を断行してきました。私が編集者としてこの状況を見るに、単に開発規模を縮小するのではなく、戦略的なM&Aを通じて、より多様で革新的なゲームタイトルをグローバルに展開する姿勢は、変化の激しいゲーム業界を生き抜くための賢明な一手であると評価できます。これは、一発のホームラン狙いではなく、安定したヒットを量産する体制を築くための、未来への投資といえるでしょう。
また、ゲーム業界全体を見渡せば、米グーグルがクラウドゲームサービス「Stadia(スタディア)」を2019年11月に開始するなど、市場の環境が急速に変化しています。クラウドゲームとは、ユーザーの手元の端末ではなく、インターネット上のサーバー側でゲームを処理・実行し、その映像をストリーミング配信するサービスです。この革新的な技術は、ユーザーがハイスペックなゲーム機を持たずとも、高品質なゲームを様々なデバイスで楽しめるようにするもので、業界に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。
セガゲームスは、こうした激しい環境変化に対応するためにも、M&Aなどを通じて海外の開発拠点を増やし、ゲームのタイトルバリエーション、すなわちIP(知的財産)の幅**を広げることで、盤石な事業基盤を構築していく考えです。海外の有力開発者を迎え入れることで、世界中で通用する新たな魅力を創出し、厳しい競争を乗り越えていくでしょう。
この記事が公開された後、SNSではセガの海外戦略に対する期待の声が多数見られました。「セガは『トータル・ウォー』や『ペルソナ5』のように、海外スタジオやグループ会社の強力なタイトルを持っているから、M&Aでさらに強いIPを増やしていくのは正しい方向性だ」「スマホゲームの損失を立て直すには、グローバルで通用する家庭用ゲームの収益を安定化させるのが重要」といった前向きな意見が目立ち、特に『ツー・ポイント・ホスピタル』のファンからは、「セガの傘下に入ったことで、今後の展開がさらに楽しみになった」という喜びの反響も寄せられています。
コメント