2019年6月26日付の日経MJ(流通新聞)で公表された「第52回2018年度の小売業調査」の結果は、私たちにとって身近な存在であるコンビニエンスストアの成長に陰りが見え始めたことを示唆しています。特に大手3社、セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンの既存店売上高の動向は、今後の流通業界を占う上で非常に重要でしょう。2018年度は、既存店の売上高の伸びが2017年度と比較してわずかに持ち直したものの、その中身には構造的な課題が潜んでいることが見て取れます。この調査結果から、コンビニ業界が直面している厳しい現実と、各社が打ち出す新たな戦略を深掘りしていきましょう。
売上高だけを見ると、セブン-イレブン・ジャパンは既存店売上高が前年度比1.3%増を達成しており、2017年度の同0.6%増から回復しています。これは、2017年10月に台風などの影響で62カ月連続増収の記録が途絶えた後の立て直しが成功した結果と言えるでしょう。一方、ファミリーマートは同0.4%増と微増にとどまり、ローソンに至っては同0.5%減と既存店売上高が減少しています。しかし、この売上高の増減の背景にある集客力の現状は、大手3社すべてで厳しい傾向が継続しているのです。
実は、大手3社すべてで既存店の客数が減少する傾向が続いており、これが今のコンビニ業界が抱える最も大きな問題点だと考えられます。セブン-イレブンでは同0.6%減、ファミリーマートは同0.8%減、そしてローソンでは同2.3%減と、客足の減少は深刻な状況です。1店舗あたりの集客は厳しさを増しており、「コンビニ神話」とも言われた利便性による集客力に陰りが見え始めているのは明らかでしょう。この事実から、単なる店舗数の拡大だけでは成長が難しい時代に突入したのだと、私自身も強く感じています。
客数の減少という難題に対し、各社は客単価の上昇で補うという形で売上高を維持しているのが現状の構図です。セブン-イレブンは既存店客単価が前年度比1.9%増と、2017年度の伸び率(同1.5%増)を上回る結果を出しています。ローソンも同1.8%増で、17年度の伸び率(同1.6%増)を超過しました。この客単価の増加は、各社が注力する高付加価値な商品の開発や、効果的な販売促進策が功を奏した結果でしょう。例えば、質の高いオリジナルデザートや、こだわりのプライベートブランド商品などが、消費者の「ついで買い」や「単価アップ」に貢献しているのです。
しかし、この「客単価頼み」の構図は、今後の経営環境がさらに厳しさを増す中で、持続可能であるかどうかが問われることになります。特に、**フランチャイズチェーン(FC)**の加盟店が抱える問題は深刻です。FC契約では、加盟店側が人件費を負担するのが一般的ですが、近年の人手不足に伴う人件費の高騰が、加盟店の収益を直撃しているのです。この加盟店の厳しい状況が表面化したのが、2019年2月に大阪府の加盟店オーナーが営業時間の短縮に踏み切った、いわゆる「24時間営業問題」でしょう。これは、コンビニ業界全体のビジネスモデルの転換期を象徴する出来事であったと私は考えています。
このような状況を受け、コンビニ大手各社は、新規出店を抑制し、既存店への支援に投資を振り向ける方針を明確に打ち出しています。具体的には、人件費負担の軽減策や、店舗運営の効率化に向けたIT技術の導入などが考えられます。この投資戦略の転換の結果、2019年度はコンビニ業界全体で出店が抑制傾向になる見込みです。実際、セブン、ファミリーマート、ローソンの大手3社の店舗数の合計純増数、および純増の割合は、統計をさかのぼれる1979年度以来の最低水準となる見通しであり、コンビニの「数の力」による成長は限界を迎えていると言えるでしょう。
📰 SNSでの反響と求められる「新しいコンビニ像」
このコンビニ業界の苦境は、SNS上でも大きな反響を呼んでいます。「人手不足は深刻なのに、24時間営業はもう無理がある」「加盟店オーナーの負担が大きすぎる」といった、現行のビジネスモデルに対する疑問や批判が多く見られました。特に、加盟店の収益悪化と過酷な労働環境に関する話題は、共感とともに拡散される傾向にあります。これは、消費者が単に利便性を享受するだけでなく、その裏側にある社会的な課題にも目を向けるようになった証拠でしょう。
経済産業省も、大手各社に対し、人手不足などの是正に向けた行動計画の作成を求め、各社は2019年4月にその計画を公表しました。これには、時短営業の実験的な導入や、省人化に向けた技術導入の促進などが盛り込まれています。今後、コンビニは「いつでも開いている」という従来の価値だけでなく、「地域に根差したサービスの提供」「サステナブルな運営モデル」など、質的な転換が求められるでしょう。客数減少に歯止めをかけ、加盟店も潤う新しいコンビニ像をいかに描き、実現できるかが、業界の持続的な成長の鍵を握ると私は確信しています。
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