🍽️ 食と観光で奈良を魅了!NAFICとスペイン美食機関が挑む「ガストロノミーツーリズム」最前線 🇪🇸

奈良県が設立した「なら食と農の魅力創造国際大学校」、通称NAFIC(ナフィック)(桜井市)は、食文化を核とした観光誘致の担い手を育成する拠点として注目を集めています。このNAFICが、世界でも有数の食に関する高等教育機関であるスペインの「バスク・クリナリー・センター(BCC)」との提携準備を進めているというニュースが、2019年6月26日に報じられました。この国際的な連携は、食を目的とした旅行、すなわちガストロノミーツーリズムという分野で、奈良の魅力を高め、新たな人材を呼び込み、育成を加速するための重要な一手となるでしょう。

ガストロノミーツーリズムとは、単に美味しいものを食べるだけでなく、その土地の食文化や歴史、農業、地域コミュニティを深く掘り下げる旅のスタイルを指します。スペインのバスク地方は「美食の町」として世界的にも有名であり、その中心地であるサンセバスチャンに位置するBCCは、この分野の人材育成や情報発信で中核的な役割を果たしています。国際的に高い評価を得ている機関と連携することで、NAFICは教育プログラムの質を高め、**「奈良にうまいものなし」**という長年のイメージを払拭するきっかけをつかむことになるかもしれません。

このガストロノミーツーリズムは、持続可能な観光の形として、国連世界観光機関(UNWTO)も推進しています。なぜなら、食を通じて農林水産業や伝統文化に経済効果が波及し、持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献すると考えられているためです。NAFICとBCCは、学生の国際交流や共同イベントの開催などを目的とした協定を結ぶ意向で、これにより学生たちは世界水準の知識や技術、国際的な視野を身につけることが期待されます。これは、日本のガストロノミーツーリズムの定着を後押しする、非常に意義深い取り組みであると考えます。

NAFICは2016年に奈良県農業大学校を改編し、農業の担い手を育てる「アグリマネジメント学科」と、農業に精通したシェフを養成する「フードクリエイティブ学科」の二つの全日制(2年制)学科を新設しました。特にフード学科では、フランス料理をベースとし、一人一台のコンロで実習を行うなど実践的な技術指導を実施しています。さらに、経営学、マーケティング、そして農作物の栽培技術までを幅広く履修できるカリキュラムが組まれており、辻調理師専門学校(大阪市)の講師陣や現役のレストラン経営者などが教鞭をとっているのです。学生が現場感覚を養えるよう、宿泊施設付きのレストラン「オーベルジュ」も併設し、実習の場として活用されています。

しかしながら、NAFICのフードクリエイティブ学科は、毎年20名の学生を募集していますが、2019年度の新入生は15名に留まるなど、定員割れが続いているのが現状です。このため、県は2020年度の募集から、学力だけでなく個性や意欲を評価するAO入試の導入をはじめとするテコ入れ策を講じています。また、研修施設としてのセミナーハウスの建設も計画されており、受け入れ体制の充実も図られています。卒業生の中には、2019年7月に1期生の芝田秀人さん(39歳)が奈良県曽爾村でオーベルジュを開業する予定など、起業家としての一歩を踏み出す人材も出てきています。

その一方で、卒業生が県外の有名レストランなどに就職するケースが相次いでいるという課題も浮上しています。せっかく奈良で学んだ人材が流出してしまうことは、県内の観光産業活性化という目標にとってはマイナスです。このため、同校と県は、卒業後の奈良県内での起業支援にも力を入れていく方針です。奈良県は、2016年の人口あたりの飲食店数や2017年度のホテル・旅館の客室数が全国最下位という状況にあり、訪日観光客が急増しているにも関わらず、大阪などからの日帰り客が多く、2018年の観光庁の調査では消費単価も全国最下位の5,587円にとどまっています。農業産出額も全国45位(2017年)と低迷しており、観光・食文化のポテンシャルを十分に活かしきれていないのが実情と言えるでしょう。

こうした背景から、奈良県は、ヨーロッパで一般的な、地域の食と宿泊を同時に提供するオーベルジュに改めて着目しました。2016年には県内の自治体と共同で「ぐるっとオーベルジュ」推進構想を策定し、小規模ながらも地域の食と観光の魅力をじっくりと味わえる施設を増やすことを目指しています。今回のNAFICとBCCの提携は、この構想を国際的なレベルで加速させる起爆剤となる可能性を秘めているのではないでしょうか。SNSでは、「奈良もついに美食の聖地を目指すのか!」「NAFIC卒業生が奈良を変えていくことに期待したい」といった声が上がっており、この取り組みに対する世間の関心は高まっています。この提携が、奈良の食と観光の未来を大きく変えるきっかけになることを、私たちも期待して見守っていくべきでしょう。

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